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この森で、天使はバスを降りた
誰にも言えない過去を抱えて、彼女はここにやって来た―――。
凍てついた心を癒せるのは傷ついた心だけ・・・。



この森で、天使はバスを降りた
原題: THE SPITFIRE GRILL



製作年:1996年 製作国:アメリカ 116分
監督:リー・ヴィッド・ズロトフ
出演:アリソン・エリオット、エレン・バースティン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ウィル・パットン
    キーラン・マローニー、ゲイラード・サーテイン、ジョン・M・ジャクソン

1996年サンダンス映画祭:観客賞 受賞

【ストーリー】

森の奥深くにある小さな町を通るバスからパーシーという女性が降りてくる。
彼女はハナという無愛想な女性が経営するレストラン『スピットファイアー・グリル』で働くことになる。
ハナをはじめ、町の人々はよそ者であるパーシーに奇異のまなざしを向けるが、
パーシーの魅力に周囲の人々は次第に惹かれてゆく。
しかし、彼女には誰にも言えない暗い過去があった。

【感想】

当時タイトルとパッケージの写真に惹かれてレンタルした作品なのですが、
この作品の持つ人間の温かさ、そして優しさにとても心打たれました。

タイトルもそうですが、作品の内容自体も一編の詩を観ているような、
とても美しい映像、そしてとても美しい人間ドラマがありました。

美しいといっても、この物語に登場する人々は、
それぞれの心の奥底に何かしらの問題を抱えています。
それはとても美しいといえない暗い過去や問題ばかりです。

そんな人々が住む、森の奥深くにある町ギリアドは田舎町で、
“よそ者”を毛嫌いしたり、猜疑心の塊だったりと、
とても臆病で自分を守るのが精一杯な人々が暮らしています。

そんな田舎町ギリアドにパーシーという女性がバスから降り立ちます。
誰にも言えない過去を抱えながら・・・。

そのギリアドにはインディアンの伝説があり、
神が“最も美しい場所”として降り立ったという言い伝えがありました。

彼女がこの町を選んだ理由は、この伝説と彼女の過去が大きく影響しています。

この町の保安官に職場としてハナという女性が経営する小さな食堂、
『スピットファイアー・グリル』を紹介され、働く事になります。
この食堂の名前がこの作品の原題になっています。

食堂の経営者ハナもまた、心に大きく傷を持った女性でした。
最初はパーシーを“よそ者”扱いしていたハナでしたが、
彼女の温かさ、優しさ、そして純粋な心に触れることにより、
次第に心を開いてゆきます。

それはハナだけではなく町の住人たちも、
パーシーの純粋な心、不思議な魅力によって彼女に心を開いてゆきます。

彼女の直向な姿、純粋な心、そして美しい心が、
町の人々の心を大きく包み込んでゆくのです。

心に傷を持っていたり、問題を抱えていたり、
人には言えない苦しみや悲しみは誰もが持っていると思います。

それを乗り越えるのは、他の誰でもない、自分自身です。

でも、自分だけで乗り越えるのはとても難しい事です。
そのキッカケや影響を与えてくれるものは、
誰かの“笑顔”なのではないかと思うのです。

その“笑顔”に希望や愛情、強さ、美しさ、心の温かさ、
そして人の心の“優しさ”を感じ、心が癒されてゆくのだと思います。

人はひとりでは生きてゆくことはできません。
自分では気がつかないかもしれませんが、
人は、人と人との繋がりがあるから生きてゆけるのです。

それは表面的な繋がりではなく、心の繋がり。
自分では気がつかない、とても自然で奥深くにある繋がりです。

ギリアドという町に訪れた奇蹟。
それは多くの人を包み込む“笑顔”を持った天使。

そう、“この森で、天使はバスを降りた”のです。

前半から物語は淡々と進んでゆきます。
そして、人間の中にある醜い心、妬み、差別、
どうすることもできない事へのやり場のない苦しみ、
そんな人間の誰にも見せたくない部分が、
ある事件により少しずつ加速してゆきます。

そして、その誰もが持つ苦しみや悲しみに触れることにより、
町の人々は、この森に舞い降りた天使によって、
人間の清い部分、暖かくて優しい人間の心を知る事になるのです。

この作品の監督の名前は今作で初めて知りましたが、
この作品以前も以降も映画を撮っていないようです。
この作品がとても良かっただけに、とても不思議なのですが、
今は何をやっているのでしょうか?

出演もエレン・バースティン以外は全然知りませんでした。
でも逆にそれが役者や監督に対する先入観を持たずに観る事が出来たので、
良かったのかもしれないですね(^^

誰もが持つ心の中にある苦しみや悲しみ、
そして人々の奥深くにある心の闇描く事によって、
そのまったく逆の位置にある、人間の心の温かさ、優しさ、
そして愛情をとても強く感じる事ができました。

その闇の中にある一筋の光、天使がもたらした希望の光は、
誰もが必ず心の中に持っているものなのです。

その希望の光は自分自身だけではなく、
他の誰かへの希望の光となっているのです。

この作品を観て、誰かが、誰かのために行う行動、
そして誰かが、誰かのために想う気持ちが、
とても大切な事であることを教えられたような気がします。

そして町の人々と同じように、パーシーの純粋の心に触れたことにより、
自分の心の中で忘れてしまっていたもの、失ってしまったものを、
もう一度取り戻せたような、そんな気持ちになりました。

切なく悲しい物語ですが、ラストには爽やかな余韻と、
人間の優しさと温かさが心に響く、とても素晴らしい作品だったと思います。


評価★★★★★★★★☆☆(10点満点中8点 …1点)


<DVD情報>





この森で、天使はバスを降りた


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テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

この記事に対するコメント

v-275なんだか悲しい結末でしたが、同時に人間の優しさ等に気付かされるラストでもありますよね。
心に残る映画です。
応援ぽち!!
【2008/05/07 13:38】 URL | you太郎 #oUPgpoCM [ 編集]


>you太郎さんへ
切なくも悲しい結末でしたが、人間の優しさや温かさが心に響き、
とても爽やかな余韻が残るラストでしたよね。
随分前に観たのですが、今でも心に残っている作品です(^^

応援ポチありがとうございます♪
【2008/05/07 17:29】 URL | Toy's #- [ 編集]


こんばんは。
この映画 当時気にはなっていたのですが 未見です。
Toy’sさんのレビューを読んで 観たくなりました!
レンタルリストに入れます♪
【2008/05/07 21:20】 URL | 詩乃 #- [ 編集]


>詩乃さんへ
DVD化された当時に観たので全体的な内容はうる覚えですが、
印象に残る場面が沢山あり、今でも心に残っています(^^
メジャーな作品ではないですが、
とても温かく、優しさに溢れた作品ですので、是非観てみて下さいね。
【2008/05/09 12:10】 URL | Toy's #- [ 編集]


はじめまして、ランキングからお邪魔しました。
この作品はずいぶん前に観たのですが、
感動しました。
丁寧な
記事を拝見してまた観たくなりました。
またお邪魔致しますよろしく。
【2008/05/12 13:28】 URL | ワトソン #- [ 編集]


>ワトソンさんへ
はじめまして(^^
ご訪問&コメントありがとうございます♪

この作品はあまりメジャーではないですが、とてもしっかりとした物語があり、
優しさと温かさが心に響く素晴らしい作品でしたよね。

つたない記事ですが読んで頂いて本当に嬉しいです(^^
是非またお越し下さいね。
こちらも後ほどワトソンさんのブログにお伺いさせて頂きますね。
【2008/05/12 18:16】 URL | Toy's #- [ 編集]


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