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Toy'sの映画感想ブログです。

今まで観た映画から最近見た映画までジャンルを問わずご紹介していこうと思います。

映画の感想は基本的にネタバレしないように書いています。
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ピアニスト
ぼくはあなたがどんな哀しい秘密を持っていても愛しています。


ピアニスト
原題:LA PIANISTE

ピアニスト

製作年:2001年 製作国:フランス、オーストリア 132分
監督:ミヒャエル・ハネケ
出演:イザベル・ユペール、ブノワ・マジメル、アニー・ジラルド、アンナ・シガレヴィッチ
    スザンヌ・ロタール、ウド・ザメル

第54回カンヌ国際映画祭:審査員特別グランプリ 受賞
                  男優賞(ブノワ・マジメル) 受賞
                  女優賞(イザベル・ユペール)受賞


【ストーリー】

小さい頃からピアニストになるため、母親に厳しく育てられたエリカ。
母親の夢であったピアニストになれなかったエリカはウィーン国立音楽院のピアノ教授をしていた。
今まで異性に触れることもなく育ち、中年を迎えたエリカだったが、
ある日小さなコンサートでピアノを弾いていた青年ワルターがエリカに思いを寄せる。
彼の一途な恋心を感じたエリカも、次第に彼に惹かれて行く。
しかし、エリカには誰にも言えない秘密を持っていた・・・

【感想】

オーストリアの鬼才ミヒャエル・ハネケ監督作品です。

ミヒャエル・ハネケ監督と聞けば・・・ご存知の方はもうお分かりですよね。
映画のパッケージやキャッチコピー、ストーリーを読んだだけでは、
この作品が人間の心の深い闇を描いているということを感じ取ることは難しいですよね。

小さい頃からピアニストになるために母親に厳しく育てられたエリカは、
母親の夢であったピアニストになることができず、
異性に触れることもなく育ち、40歳を過ぎても帰る時間まで母親に管理されています。

そんなある日、私的な演奏会の席でピアノを弾いていた青年ワルターと出会います。
ワルターは知的なエリカに惹かれ、思いを寄せるようになります。
若さゆえの強引な愛情表現と異性からのアプローチに戸惑うエリカ。
そんなエリカも、ワルターの一途な愛を受け止めはじめ、
エリカ自身もワルターに惹かれて行きます。

ここまで書くと、とても純粋な恋愛映画のように感じますよね。
しかし、ここからがハネケ監督ワールドが全開になります。

ワルターの想いが爆発し、エリカとキスを交わすトイレのシーン。
DVDパッケージのシーンですね。

そこに至るまでにもエリカの秘密は小出しに表現されてきますが、
ここに来てエリカの異常性が一気に爆発します。

エリカの異常な行動に対する感じ方は人それぞれだと思います。
この作品を観た方は、その行動をどのように感じたのでしょうか?

不快に感じたり、気持ち悪いと思ったり、目を背けたくなったり、
怒りや嫌悪感を感じたり、きっとエリカに対して良いイメージを持つ人はいないと思います。

エリカの著しく歪んだ性への感情。
40歳を超えても、一度も異性と接する事もなく、母親に常に管理され、
同じ部屋で隣のベッドに寝る。
常に束縛され、管理されていたエリカは、倒錯した性に溺れるようになっていたのです。

エリカの倒錯した性への感情を知り、知的さと異常さを持つエリカに戸惑うワルター。
果たして、彼らの愛の行方は・・・

ハネケ監督作品と言う事で、かなり気合いを入れて観ましたが、
自分の予想を上回る、想像を絶するエリカの異常性にとても衝撃を受けました。

エリカだけではなく、母親の娘に対する愛情も異常です。
娘への過度な期待を持ち、異性から遠ざけ、仕事や帰宅時間までも口を出す。
娘への深い愛情がいき過ぎて、エリカという人間自体を縛ってしまった。
きっと愛情と共に、自分がひとり取り残される事に対しての不安を感じていたのかもしれません。

小さい頃から母親に束縛されてきたエリカは、
母親から離れられず、自分の心を押し殺してきたが故に心が歪んでしまったのだと思います。

そして母親の束縛、異性との断絶によって倒錯した性に溺れてしまい、
いざ、異性と対峙した時に、自分の中の純粋な部分、
素直な心を出す事ができなかったのでしょう。
もしかしたら、普通の接し方を知らなかったのかもしれません。

エリカの心の中にある闇は、とてつもなく深いものでした。
底が見えないほど深い、入り込んだら抜け出す事ができないブラック・ホールのように。

そしてエリカに惹かれて行く青年ワルター。
ピアノの才能がある普通の大学生であるワルターは、この作品の中ではまともな存在・・・

とは言えないかもしれません。

年上の女性への猛烈なアプローチは若さ故の行動だと思います。
そして、そこがトイレであろうともエリカにキスをするシーンも、
若者であるがゆえの行動であると思います。

そしてエリカの倒錯した性への感情を知り、その事に対して戸惑い、心が揺れ動く。

エリカの異常性を知った後の彼の行動は、
少なからず異常性を持っていたのではないかと思います。

人はきっと誰もが多かれ少なかれ、
人から見たら異常だと思われるものを持っているんだと思います。

誰にも知られたくない、心の中に持つ深い闇の部分を・・・

この作品は、まさにそこを描きたかったのではないでしょうか?

表現方法は決して綺麗なものでななく、目を背けたくなるような描写ばかりです。
何故ここまで描くのか?そう思えるほど不快で嫌悪感を感じます。

ハネケ監督はどの作品もそうですが、異常なまでの表現方法で、
観る人の心に訴えかけてきます。
その描写に耐えられるかどうか、そこがこの監督の作品を受け入れられるか、
受け入れられないかが決まるんだと思います。

この作品は第54回カンヌ国際映画祭で審査員特別グランプリを受賞しました。
とても一般的には受け入れられないこの作品が受賞したのは、
その奥にある人間の心の闇を、観た人たちが感じ取ったからかもしれません。

そして同映画祭で女優賞を受賞したエリカ役のイザベル・ユペール。
彼女の演技力には、もの凄い力を感じました。
ちょっとした表情で全ての感情を表現していて、演技とはなにか、
映し出される映像から受け止めるものはどんなものなのかを、
熟知しているような、とても素晴らしい演技でした。
エリカの異常性を淡々と演じきった彼女は本当に凄い女優さんだと思います。

同じく男優賞を受賞したワルダー役のブノワ・マジメル。
エリカに想いを寄せ、彼女の異常性を知り、激しく心が揺れ動く微妙な心境を、
見事に演じきっていたと思います。
激しさと繊細さを持つ若者の心を上手く演じ分けていました。

誰もが持つ心の深い闇を描いたハネケ監督の衝撃的な問題作。
観る人の心をとことん追い詰めて、その物語の中にある深いテーマを突きつける、
ハネケ監督の独特の演出と表現方法は、万人に受け入れられるものではなく、
かなりの心構えがないと、暗く深い闇のどん底に突き落とされてしまいます。

そして深く深く落ちていった先には、どうしようもない位、救いはありません。

「ピアニスト」という美しいタイトルとは裏腹に、
人間の醜くて汚い、誰にも知られたくないような心の闇を描いた作品です。

この作品も、あえてオススメはしません。
というかハネケ監督作品は自分からオススメすることはないでしょう。
とにかく、衝撃的で深く考えさせられると同時に、
もの凄い不快感と嫌悪感、そして喪失感に駆られます。
そして、ものすごく後味が悪いです。

ですので、この作品をはじめ、ハネケ監督作品を観ようという方は、
Toy'sのレビューを読んで、心の準備をして頂き、
自分の想像以上の衝撃を受ける事を覚悟の上、ご鑑賞下さいね。


評価☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(10点満点中0点 …1点)
※0点は評価の付けられないカルト映画という意味です。

※ハネケ監督の作品は普通の評価ができないのでカルト作品の分野に入れることにしました。


<DVD情報>

ピアニスト


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テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

ヒルズ・ハブ・アイズ2
スマッシュ・ヒットを飛ばした「ヒルズ・ハブ・アイズ」を受けて、
直ちに製作されたオリジナル・ストーリーの続編。



ヒルズ・ハブ・アイズ2
原題: THE HILLS HAVE EYES II



製作年:2007年 製作国:アメリカ 89分
監督:マーティン・ワイズ
出演:マイケル・マクミリアン、ジェシカ・ストループ、ダニエラ・アロンソ、ジェイコブ・バルガス
    フレックス・アレクサンダー、マイケル・ベイリースミス、ジェフ・コーバー

【ストーリー】

前作から1年後、惨劇が起こった核実験場跡地で調査をしている科学者たちへの
届け物に寄った米軍兵士たちが食人一族の餌食となる。
“兵士が死ぬとその死体を持ち帰らなければならない”という兵士の鉄則により、
食人一族に囚われた仲間を取り戻しに向かい、再び暴力の連鎖が拡がってゆく。

【感想】

ウェス・クレイブン監督のカルト・ホラー「サランドラ」をリメイクした、
「ヒルズ・ハブ・アイズ」の続編です。

今作は「サランドラ2」のリメイクではなく、オリジナル・ストーリーで勝負をかけてきました(笑)

今回は前作のアレクサンドル・アジャ監督から、
ミュージック・ビデオやCFで活躍するマーティン・ワイズ監督に代わっています。
そして脚本はウェス・クレイブンとその息子のジョナサン。
前作とはメイン・スタッフが大幅に変わってますので、作風も1作目とは結構違っています。

ホラー映画の続編ってやっちまうことが多いですが、
今作は1作目と趣向が違っていて、別の意味で結構見応えがありましたね。
1作目を観てなくても十分観れる作品になっていました。

1作目は襲われる家族の人間性や家族愛、そして暴力性に目覚めて行く過程など、
ただのホラー映画には終わらないドラマがありました。

そして食人一族も核兵器の放射能によってモンスターに変貌しまった事への、
苦しみや悲しみ、そして怒りの感情を持っていて、正常な人間に対して恨みの感情も持つ、
ただの殺戮食人鬼ではない存在として描かれていました。

今作ではその1作目にあった食人一族の悲壮感や人間的感情はほとんどなく、
人間を殺戮する事を楽しんでいる完全なモンスターのような存在となっています。

そして今回のターゲットは米軍兵士。
米軍兵士といっても、まだまだ統制のとれていない新米の兵士たちです。
なので、今回は前作とは違って、人間性を問う物語ではなく、
仲間を決して見捨てないという兵士としての自覚がメインで描かれています。

殺戮大好きモンスターと新米の米軍兵士。
このシュチュエーションなら、人間性や暴力性を問うドラマではなく、
怒涛のサバイバル・アクション・ホラーとして描くしかないですよね(^^

オープニングからラストまで、血みどろの壮絶な戦いが繰り広げられます。

頭に斧が刺さったり、腕を切られたり、内蔵が飛び出てたり、
あっちこっちに体のパーツがぶら下がっていたりと、
グロテスクでゴアなシーンは前作以上にてんこ盛り、サービス満点です(笑)

舞台は前作と同じ(当りまえですが)核実験場の跡地で、
どこまでも続く青い空、乾いた空気、黄金色の砂漠・・・なのですが、
今作のメインは鉱山跡地ということもあり、
食人一族が棲家としている薄暗くジメジメした洞窟の中です。

切り立った山から脱出するためには、食人一族が住む洞窟を抜けなければならず、
さらに、食人一族に連れ去られた仲間は、その洞窟の中。

生き残った兵士たちは食人一族の魔の手から逃れるため、
そして連れ去られた仲間を救うために、
食人一族が巣くう迷路のような洞窟の中を抜け、決死の脱出を試みます。

その洞窟の中を脱出する展開はサバイバル・アクションを見ているようで、
とても見応えがありましたね。
いつどこから襲い掛かってくるか分からない食人一族の攻撃に、
ハラハラドキドキさせられました(^^

「クライモリ」などのゴアゴアなスラッシャー映画好きな人にとっては、
結構見応えがある作品だったんじゃないかなと思います。

ただ、Toy's的には1作目にある襲う者と襲われる者の深い人間ドラマや、
暴力の連鎖、暴力の空しさを描いた方が好きでしたね。

特に今回は食人一族を人間性のない殺戮モンスターとして描いているので、
第1作目で描かれていた食人一族の悲しみや苦しみ、そして憎しみが、
どこかに飛んでしまったのが残念でした。

ただ怖がらせるだけであれば映像や演出だけで十分出来ますが、
本当に怖いのは襲う者と襲われる者の背景や真実を知ること、
そして人間の心の奥底にある恐怖の元を描くことなんだと思います。

とは言っても、スラッシャー映画でそこまで求めるのは酷な話ですけどね(^^;

この2作目は普通にスラッシャー映画として観れば十分見応えがありますので、
1作目のような深い物語を期待せず、次々と襲い掛かる恐怖を堪能できる、
サバイバル・アクション・ホラーとして見て頂ければ良いかと思います。


評価★★★★★★★☆☆☆(10点満点中7点 …1点)


<DVD情報>





ヒルズ・ハブ・アイズ2



「ヒルズ・ハブ・アイズ」の第1作目です↓↓↓





ヒルズ・ハブ・アイズ

第一作「ヒルズ・ハブ・アイズ」のToy'sレビューはこちら


オリジナル作品「サランドラ」もDVD化してますので、
興味がある方は一度ご鑑賞してみては如何でしょうか。







ちなみに「サランドラⅡ」という続編もあります。
こちらの方がよりカルトっぽ気がします(^^;







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テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

モーテル
宿泊料、イノチ。


モーテル
原題: VACANCY



製作年:2007年 製作国:アメリカ 85分
監督:ニームロッド・アンタル
出演:ケイト・ベッキンセール、ルーク・ウィルソン、フランク・ホエーリー、イーサン・エンブリー

【ストーリー】

息子の事故死をキッカケに不仲になったデビッドとエイミーの夫婦は、
親類の家から自宅へと戻るために車を飛ばしていた。
しかし突然、道路に飛び出した動物を避けようとして車のエンジンが故障、
仕方がなくすぐ近くのモーテルに泊まることになる。
怪しい支配人のメイソンに鍵を貰い部屋に入ると、突然、隣の部屋から激しいノック音が続き、
何者かから無言電話がかかってくる。
さらに部屋にあったビデオを再生してみると、そこには・・・

【感想】

サスペンス・スリラーと言えばショッキングな映像やグロテスクな映像描写は、
今の時代、当たり前ですよね。

この作品はそんなショッキングシーンやグロテスクシーンはほとんどありません。

どこか分からない場所にあるモーテルという逃げ場のない閉ざされた空間で、
主人公たちと共に突然、恐怖のどん底に突き落とされ、次第に追い詰められて行く、
そんな王道でとてもシンプルな恐怖を体験できます。

アメリカという広大な土地特有の恐怖とでも言ったらよいでしょうか、
高速道路や一般道など州をまたいで車で移動する時は、
ガソリンスタンドや人のいる場所が何十キロも離れた場所にあり、
携帯も通じず、車が故障したり、トラブルがあったとしても連絡する術がない。

そんなアメリカに住む人にとって日常的に遭遇し得る恐怖。
この物語はその恐怖によって幕を開けます。

子供の事故死をキッカケに夫婦間に溝ができてしまったデビッドとエイミーの夫婦。
親類の家から自宅への帰り道、見ず知らずの場所で車が故障し、
ガソリンスタンドが開店する朝まで待つために近くのモーテルで一夜を明かすことになります。

そこで遭遇する想像を絶する恐怖。
きっと自分がその立場だったら、まず冷静ではいられないでしょうね。
これから自分たちに巻き起こる恐怖を知ってしまったら・・・

この作品はここからが本題です。
前半のゆっくりとした展開から、怒涛のスピーディな展開に変わってゆきます。
内容を書いてしまうと思いっきりネタバレしてしまうので、
この先についてはご自身の目で確かめて下さい。

※ここからはネタバレです。
この作品を観た方は反転してお読み下さい。


モーテルに入ってすぐの激しいノック音、無言電話などの心理的な恐怖を増長する展開、
そしてビデオに録画された実際の殺人映像が、
今宿泊している部屋で行われていることを知った時の衝撃など、
ショッキング映像やグロテスクな映像ではなく、
精神的な恐怖を演出した物語には、とても引き込まれました。

そして、その殺人映像のターゲットとなってしまった二人が、
次第に追い詰められて行く展開をスピーディに描き、
ラストまで物語に釘付けとなりました。

ここまでの展開は近年のサスペンス・スリラーの中では、とてもレベルが高かったと思います。

サスペンス・スリラーという題材を、
映像だけではなく、心理的恐怖を描いた物語だけで引き込む演出は、
とても素晴らしかったと思います。

ただ・・・ラストがあっけなさすぎましたね(^^;

デビッドが刺されてしまい、エイミーひとりとなった時は、
一体どうなるんだろう?とラストへの展開に、さらに釘付けとなったのですが、
車での争いで、あっという間に二人がやられてしまい、
最後のボスキャラ(?)であるメイスンも、散々エイミーを追い詰めたあげく、
転がった銃の傍に投げ飛ばし、あっけなく撃たれてしまうという始末・・・

あまりにもあっという間に終わってしまい、
メイスンのあまりにも不甲斐ない行動に、ただただ呆然としちゃいました(^^;

ここまで心理的恐怖で引っ張ってきたのが、すべて台無しになってしまったような気がしました。

何か一番重要なラストの展開を、どうやって終わらせようか悩んだすえに、
とりあえず畳み掛けて終わりにしてしまった・・・

そんな気がしてなりません。

もうちょっとラストの展開にヒネリを入れて、
観客を驚かせるようなラストにしてほしかったですねぇ。

う~ん、ラストまでの展開が良かっただけに、非常に勿体無かったです。



※ネタバレ以上。

主人公の夫婦を演じたケイト・ベッキンセールとルーク・ウィルソン。
この二人の演技だけで、この物語を引っ張っていたと言っても過言ではないと思います。
二人の演技力は本当にすごいですね(^^

ただ、ケイト・ベッキンセールは今までの作品から“強い女性”のイメージが強くて、
恐怖に怯える普通の主婦という役柄が似合ってないような感じがしました(^^;
追い詰められて行くにしたがって、いつ本領を発揮するんだろう?と思っちゃいました(笑)

この作品は、最近流行りのスリラーによくある、ラストのどんでん返しとか、
二転三転する物語を期待して観る作品ではありません。

想像を絶する恐怖に遭遇し、その恐怖から脱出しようとする夫婦と共に、
この作品を観る人も、その恐怖を疑似体験する・・・そんな作品だと思います。

息も付かせぬ展開、持続する緊張感、他人事のようで実は身近にある恐怖、
これでもかと襲いかかる恐怖の数々を疑似体験できる、
クラシック・スタイルの体感型サスペンス・スリラーでした。


評価★★★★★★☆☆☆☆(10点満点中6点 …1点)


<DVD情報>





モーテル

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テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

俺たちフィギアスケーター
たとえ何が起こっても、氷の上では華麗に舞うぜっ!それが俺たちの生きる道!?


俺たちフィギュアスケーター
原題: BLADES OF GLORY



製作年:2007年 製作国:アメリカ 93分
監督:ウィル・スペック
出演:ウィル・フェレル、ジョン・ヘダー、ウィル・アーネット、エイミー・ポーラー、クレイグ・T・ネルソン
    ジェナ・フィシャー、ウィリアム・フィクトナ、ロマニー・マルコ、ニック・スウォードソン

【ストーリー】

マッチョで派手な演出を売りにしているフィギアスケーターのチャズと繊細なナルシストのジミーは、
世界選手権で同点1位となり、犬猿の仲だった2人は表彰台で大乱闘を繰り広げてしまう。
2人は男子シングル部門から永久追放されてしまうが、ペア部門で復活に望みをかけ、
男子ペアという異例のコンビでスケートリンクに上がることになる。

【感想】

劇場公開された時から、めちゃくちゃ楽しみにしていた作品です(^^

あまり期待しすぎると、逆に面白くなくなってしまうので過度な期待はせず観たのですが・・・

いやいや、予想以上に面白かったです(^^

内容はめちゃくちゃくだらないです(笑)
でも、頭を空っぽにして、な~んにも考えずに観る映画としては最高です(^^

特に主演のウィル・フェレルとジョン・ヘダーの二人はサイコーでしたね~。

ウィル・フェレル演じる派手な演出でフィギアスケート界を盛り上げるチャズ。
セックス依存症で、一匹狼のアウトロー、豪快で独りよがりな性格のチャズ役はハマり役でした。
「主人公は僕だった」の時の押さえた演技とは違う、
ウィル・フェレル節炸裂なハチャメチャ演技でしたね~。

ジョン・ヘダー演じる富豪の養子で英才教育を受けた繊細でナルシストなジミー。
女性に奥手で(たぶん)童貞な彼は、見た目も性格もまったくチャズとは正反対で、
線の細いなよなよ系キモキャラのジミー役はめっちゃハマり役でした。
ジョン・ヘダーはToy'sオススメの未公開映画「バス男」で、
めっちゃキモいキャラ:ナポレオン・ダイナマイトのイメージがすごく強かったのですが、
今作の繊細でナルシストでなよなよキモキャラなジミーも彼らしさが炸裂していたと思います。

そんな二人がフィギアスケートの男子シングル部門で同点1位を取ってしまい、
表彰台の上で大乱闘、男子シングル部門から永久追放されてしまいます。

フィギアスケート界から姿を消したジミーは、
ジミーを偏愛するキモいストーカー(こいつも結構キモイ(^^;)から、
シングル部門は出れなくても、ペア部門なら出れるという情報を教えられ、
何だかんだあってチャズと史上初の男子ペアを組む事になります。

この男子ペアのダンスシーンもキモい(笑)

最初は本当にキモいんですが、反発しあう二人が次第に認め合い、
高度な技を繰り出して行く姿には、ちょっと感動しました(本当にちょっとですよ(笑))

そんなこんなのスポ根物語がおバカなお笑い満載で描かれてゆくのですが、
アメリカのお笑いって、日本みたいにボケとツッコミみたな流れじゃないんですよね。

なんでしょう、全員がボケ?(笑)

出てくるキャラが皆おバカちゃんばかりで、それを冷静にツッコミを入れる存在がいない(^^;
もう好きなだけ暴走しまくりで、収集がつかない感じですよね。

逆にそれがアメリカのお笑いの良いところではありますが(^^

きっと監督と観客がツッコミなんでしょうね。

時々監督までも暴走したりしますけど(笑)

この作品も出演者たちが完全に暴走しまくっております(^^

でもその暴走加減がちゃんとキャラクターたちの個性に合っていて、
見苦しさとか、ウザさっていうのはなかったですね。

それぞれのキャラクターにそれぞれの適役な役者たちが演じているので、
とても安心して観れました。

特に主演の二人は、彼ら以外にいないってほどハマってました(^^
それぞれのキャラクターの個性がぶつかることにより潰しあってしまうのではなく、
お互いのキャラクターの個性をよりいっそう引き立てるような関係で描かれており、
それぞれのおバカキャラがとても輝いていましたね。

本当に最初っから最後まで笑いっぱなしでした(^^

おバカで、お下品な笑いが満載ですので、
そういうのが苦手な方は受け付けないでしょうね~。

Toy's的には、久しぶりに何も考えずにバカ笑いできたコメディ映画でした(^^

何にも考えずに、頭を空っぽにしておバカなコメディ映画を観たい気分になった時は、
うってつけの作品だと思います。


評価★★★★★★★☆☆☆(10点満点中7点 …1点)


<DVD情報>





俺たちフィギュアスケーター スペシャル・エディション


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テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

七人の侍
世界のクロサワの代表作であり、映画史に残る不朽の名作。


七人の侍



製作年:1954年 製作国:日本 207分
監督:黒澤明
出演:三船敏郎、志村喬、津島恵子、藤原釜足、加東大介、木村功、千秋実、宮口精二
    小杉義男、左ト全、稲葉義男、土谷嘉男、高堂国典、熊谷二良、富山晴子

第15回ヴェネチア国際映画祭:サン・マルコ銀獅子賞 受賞

【ストーリー】

戦国時代の貧しい農村を舞台に、野盗と化した野武士たちに立ち向かうべく、
農民たちは7人の侍を雇い、壮絶な戦いを繰り広げる。

【感想】

もう、何も語ることはないほど有名な日本映画界の最高峰の作品、
いや世界の映画史にその名を残す不朽の名作です。

世界中でこの映画がお手本とされたり、リスペクトされたりしていますよね。

説明不要な作品ですが、とても大好きな作品ですのでレビューしたいと思います(^^

1954年製作ですから、今からもう半世紀以上前の作品になりますね。

ダイナミックなアクションシーンの数々、綿密に計算された脚本、
細部までしっかりと描かれているキャラクター設定、
3時間半という長時間を感じさせない素晴らしい構成、そして演出、
どれをとっても“映画”に必要な要素が全て完璧に揃っている作品は、
この映画以外に思いつきません。

この作品が半世紀以上前、しかもこの日本で製作された映画というのが驚きです。

娯楽映画というのは、だいたいキャラクター設定が薄かったり、
物語が単純であったりということが多いですが、
この作品は娯楽映画としても最高峰の上、
しっかりとした人物描写や奥の深い物語があります。

野武士たちから村を守るために侍を雇う農民たち。
一見臆病で気弱な人々ですが、実は結構したたかで抜け目がない。

野武士たちから守ってもらうために雇った侍にも心を開かず、
反発したり、身勝手な行動を取ったり、村の女性を奪われないようにかくまったり、
気弱で人の良さそうな感じですが、実はかなり、したたかに生きている人間たちです。

でもそれは彼らが自分たちを守るために出来る精一杯の行動なのです。
戦い慣れしている侍や野武士と違い、力で自分たちを守れない彼らは、
したたかに、ずる賢く生きるしかなかったのでしょう。
そんな戦国時代の農民たちの行き方が、決して綺麗ごとではなく、
泥臭く、リアルに描かれていました。

そして七人の侍たち。
農民から声を掛けられ、最初に雇われたのはいくつもの戦いを潜り抜けてきた、
戦略と知力、そして剣術にも優れた侍:勘兵衛。

農民たちではまったく雇う事ができなかった侍たちを、
決して良い条件とは言えない中、勘兵衛の知力、そしてカリスマ性によって、
ようやく6人の侍が集まります。

その侍たちを集める過程が面白いんです。
頼まれて手を貸す者、志願してくる者、自分の信念を貫き通す者、
ついてくるなと言われてもついてくる者、いくつもの戦を共に戦った戦友など、
実に個性豊かな侍たちを、いろんな手を使って集めてゆきます。

この侍集めが、この7人の侍たちがどんな性格で、
どんな能力を持った人間なのかを知る事ができる重要な部分なんです。

個性豊かな7人の侍たちは、それぞれまったく違った性格で、
生きてきた境遇も戦いの経験もまちまちです。

そんな個性的な7人の侍たちの性格や境遇もしっかりと描かれており、
それぞれの侍たちの人間性に奥行きと厚みを持たせています。

その中でも、一際目立つ存在なのが三船敏郎演じる菊千代。
荒々しさとひょうきんさを持つ菊千代という人物は、
個性豊かな侍たちの中でも異彩を放っていて、
その境遇や生き様は、この作品の中でとても重要な存在となっています。

そんな農民たちと7人の侍が共に野武士たちの襲撃に立ち向かいます。

襲撃に備えての戦術、農民たちへの戦闘訓練、
そして野武士たちとの駆け引きなど、
ダイナミックなアクションシーンだけではなく、
知力と戦術を駆使した見事な戦いも繰り広げられます。

そこがこの作品の見所でもありますね。

侍と農民、お互いにそれぞれを認め合う事がなかなかできません。
それは農民は農民なりの、侍は侍なりの考え方があり、それぞれ生き方、
それぞれの経験など、両者の間にある溝はとても深いものなのです。

この作品がただのチャンバラ映画ではない、
深い人間ドラマがあるのは、まさしくそこなのだと思います。

善と悪という両面を合わせ持ち、したたかに生きる農民たち、
己の信念を貫き通して生きている侍たち、
その微妙な関係、そしてその関係から見える当時の社会情勢を、
この物語の中に凝縮して描いている、そこが凄いと感じました。

そしてその農民たちと侍たち、それぞれを細やかに描くことによって、
農民と侍がそれぞれ持っている、悲しみや苦しみ、善と悪、生と死、
喪失感、悲壮感、そして愛情、優しさ、温もりを、
セリフに表すこともなく、分かりやすく描写することもなく、
観ている人々に直接伝わってくるのです。

そんな状況の中で、心のぶつかり合いや、仲間の死を通して、
農民、侍という枠を超えた人間的な繋がりが生まれてきます。

一丸となった農民と7人の侍の戦いは、
クライマックスに向けて壮絶さを増してゆきます。

ラストのどしゃぶりの中の戦いは、まさに映画史に残る名場面ですね。

あれほどまでに壮絶な戦いは、今までの時代劇では観た事がない、
いや日本映画や洋画でも観た事のない、凄まじい戦いでした。

ダイナミックな演出と多様なカメラワーク、
どしゃぶりの中の最終決戦という予想を超えた斬新な設定、
野武士と農民と侍が入り乱れる壮絶な戦いは、
まるでその戦場に立たされているような臨場感を感じました。

戦国時代に生きる人々のそれぞれの生き方、社会情勢、
侍と農民という立場の違いによる確執などの深い人間ドラマと、
若侍と村の娘との立場を超えた切ない恋愛、
そして観る者の度肝を抜くダイナミックな戦闘シーンや巧妙で見事な戦術などの、
娯楽性に溢れた時代劇アクションを見事に融合し、
ひとつの作品として撮り上げた黒澤明監督は本当に凄いと思います。

今、このような作品を撮れる監督は世界中を探してもいないと思います。
そして、これからも黒澤明監督のような監督は出てこないんじゃないかと思います。
本当は黒澤明監督を超えるような人が現れてほしいんですけどね。

この世界に誇る名監督である黒澤監督が日本人であることが、
とても嬉しく思うと同時に、とても誇りに思います。
ホント、日本人に生まれて良かったと思います(^^

そして、この作品に出演している役者さんたち。
黒澤監督映画にはお馴染みの常連の役者さんたちが多数を占めていますが、
その中でも、やはり菊千代役の三船敏郎と勘兵衛役の志村喬は別格でしたね。
この二人の圧倒的な存在感、どんな役柄でも適応する役者としての才能、
そしてどんな状況でも演技をこなしてしまう役者魂は凄いです。

特に志村喬は「生きる」をはじめ、弱々しいイメージが強かったので、
知力、戦術に優れ、カリスマ性を持つ侍:勘兵衛役は以外だったのですが、
この作品を観て、その考えが吹っ飛んでしまいました。
どんな役柄でも柔軟にこなせる素晴らしい役者さんでしたね。

三船敏郎演じる菊千代は、この作品の後に演じることになる、
「用心棒」「椿三十郎」の浪人:三十郎や、「隠し砦の三悪人」の真壁六郎太に見られる、
どんな時でも冷静沈着、頭が切れて、剣の腕も超一流という凄腕の侍ではなく、
性格は乱暴で、お調子者、そしてとても深い心の傷を持つ、
等身大のキャラクターだったと思います。
三船敏郎の圧倒的な存在感と卓越した演技力は本当に凄かったです。

あと7人の侍のひとりである、宮口精二演じる久蔵が結構好きなキャラクターです。
めちゃくちゃ格好良いんですよ。
あれが侍、あれが武士道、あれが男なんだと感じる、憧れの存在ですね。

その他沢山の名優たちが競演しておりますが、
全部を書き出すと終わりが見えなくなるので、この辺でやめておきます(笑)

とにかく、この「七人の侍」という作品は凄いです。
もう、本当に凄いとしか言いようがありません(笑)

深い人間ドラマ、綿密に計算しつくされた物語、ダイナミックなアクション、
娯楽映画としての要素と全ての映画に必要な要素が全て備わった、
完全な映画、傑作であり最高峰であり、名作中の名作。

もうこの作品を説明するのに“凄い”と言う言葉しか出てこないので、
観ていない方は実際に自分の目で、Toy'sの言うこの映画の凄さを確認してほしいと思います。

半世紀以上前の作品で、白黒で、時代劇で、知っている俳優がいない、
そう思う人がいるかもしれませんが、その思いは観てしまえば、どこかに吹っ飛んでしまいます。

物語にどんどん惹き込まれ、敬遠していたものを嘘ののように忘れてしまいます。
実際に自分も黒澤作品を観るまでは白黒の古い時代劇を観るなんて考えもしませんでした。
しかし、この作品を観た途端、黒澤明ワールドにどっぷりとハマってしまいました。

それだけのパワーがこの作品にはあります。
観るたびに新しい発見があり、何度観ても面白い、
そして今観てもまったく色あせない“本当の映画”がそこにあります。

日本で言えば国宝級、世界で言えば世界遺産にも匹敵するような、
映画としての完成度の高い、最高級の映画史に残る名作中の名作です。


評価★★★★★★★★★★(10点満点中10点 …1点)

パーフェクト!!
日本映画界、そして世界の映画史に残る“不朽の名作”であり、
Toy'sの中でも“不朽の名作”なのでToy's殿堂入りです!!



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テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

誰も知らない
生きているのは、おとなだけですか


誰も知らない



製作年:2004年 製作国:日本 141分
監督:是枝裕和
出演:柳楽優弥、北浦愛、木村飛影、清水萌々子、韓英恵、YOU、串田和美、岡本夕紀子
    平泉成、加瀬亮、タテタカコ、木村祐一、遠藤憲一、寺島進

第57回カンヌ国際映画祭:男優賞(柳楽優弥)受賞

【ストーリー】

とあるアパートに暮らす母と4人の子供たち。
母はそれぞれ父親の違う子供たちを世間の目から隠すように、学校にも行かせず、
部屋から出ないよう子供達に言いつけて、仕事に出かけてゆく毎日を送っていた。
母親の不在中は12歳の長男・明(柳楽優弥)が家事や弟妹の面倒をみていた。
そんなある日、母は現金20万円と「しばらく頼むね」という書置きを明に残し、姿を消してしまう。
それでも明の働きで、4人兄弟は子供だけの楽しい生活を送るのだが、やがてお金が底をつきはじめ…。

【感想】

1988年に東京都巣鴨で発生した巣鴨子供置き去り事件という実話をベースに作られた作品です。

この作品は第57回カンヌ国際映画祭で12歳の長男:明役を演じた柳楽優弥が、
男優賞を受賞した事で大きな話題になりましたよね。

日本人がカンヌ国際映画祭で男優賞を受賞するという、
とてつもなく大きな快挙を成し遂げた柳楽優弥の演技はとてもピュアで、
素晴らしい演技だったと思います。

受賞の喜び、そして映画に対する期待感を持って観た本作、
そんな浮かれ気分はどこかに吹っ飛んでしまうほど、その内容はあまりにも衝撃的でした。

1988年と言えば今から約20年前、この作品を観たのが2004年ですから、
その当時は16年ほど前だったんですね。
そんなに昔ではない時代に、こんなに衝撃的な事件があったなんて本当に信じられません。
子を持つ親として胸が締め付けられるほどの悲しさと、
とてつもない怒りが同時にわいてくる、そんな複雑な感情が込み上げてきました。

母親と子供4人。
子供たちはそれぞれ父親が別々で、それを社会的に隠すため、
引越しの際もスーツケースに次男、次女を入れて人目をはばかり、
外に出ることはおろか、学校にも行けない。

母親は子供たちを小さなアパートに残して仕事に出かけ、夜は遊んで帰ってくる。
家事全般と子供達の面倒をみるのは長男の明の仕事。
そんな日々が続いていたある日、わずかなお金と置手紙を残して母親は姿を消してしまう。

残された子供たちは、最初のうちは自由を満喫して過ごしていたが、
お金も底をつきはじめ、生活は次第に圧迫されてゆく。

母親不在の生活は子供にとって、とても辛く寂しい日々だったと思います。
いや、そんな簡単な言葉では言い表せないほど、
精神的にも肉体的にも想像できないほど苦しかったんだと思います。

母親不在の中でも懸命に生きようとする子供たち。
その中でも長男の明はすべての責任を背負い、家事と子供の面倒を見続けてゆきます。

長男の明をはじめ、4人の子供たちはとても純粋で、
自分たちを置き去りにした母親を恨んだり、憎んだりせず、
むしろそんな状況の中でも母親を慕っている。

なんて健気なのでしょうか。

子供たちには一つも悪いことはありません。
全責任は自分勝手な母親にあります。
いや、母親だけではなく、子供たちに無関心な父親たち、
そして他人に対して無関心な世の中にも責任があるのではないでしょうか。

自分のやりたい事、好きな事をするのは全く構わないと思います。
親になってもひとりの人間です。
自分の好きな事を、自分のできる限りの範囲内でやることは必要だと思います。

ただ子供を持ったからには、その責任は全て負わなければいけません。
その責任から逃げることはできないのです。

たとえ望んで産まれた子供でなくても、
子を持つ親となったからには、望まなくても責任は負わなければならないのです。

子供たちだけで生きてゆくことなんて絶対に出来ません。
ただ生きてゆくだけではなく、子供がひとりの人間として成長するためには、
大人が傍にいることが、とても重要なのです。

そう、それは母親だけではなく、父親、祖父母、全ての大人たちが、
子供たちを見守ってあげなければならないのです。

どんなに過酷な状況でも、母親を慕い、誰かに頼りながら、
どんな小さな希望でも信じ続けて、必死に生きてきた子供たち。

かれらの純粋な心、そして生きようとする心は素晴らしかった。

この物語は、その必死に生きようとする子供たちの姿を、
まるでドキュメンタリーのように映し出し、子供たちの生活を淡々と追ってゆきます。

しかし、ただただ悲惨な現状を映し出すだけではなく、
彼らの辛く苦しい生活の中にある、小さな希望や幸せも映し出しています。

表現的にはとても難しいのですが、ドキュメンタリータッチであると同時に、
どこかファンタジーのような雰囲気というか、
現実的であって、現実的でない、不思議な世界観がありました。

そこの部分は、もしかしたら賛否両論なのかもしれませんが、
もし、4人の子供たちの苦難に満ちた日々をリアルに描くだけの作品だったとしたら、
きっと誰もが最後まで鑑賞することのできない、
辛くて苦しくて重いだけの作品になってしまったと思います。

これは自分的な解釈なのですが、ある意味ファンタジーのような世界観で描くことによって、
ひとつの映画としてこの作品を観ることができるのではないかと感じました。
それは現実から離れるということではなく、ありのままでは敬遠しがちな題材を、
より多くの人が鑑賞できるように、あえて映画的な作りにしたのではないかと思うのです。

この作品を鑑賞する人が増えることにより、
実際に起こった悲劇的な事件を、より多くの人たちが知ることができ、
そしてこのような事件が繰り返されないように、
日本中、いや世界中の人々に訴えかけることができたのではないでしょうか。

自分はそう感じました。
そして世界中の人々がこの悲劇的な事件を知り、
自分たち、そして周りの人たちにも、同じ過ちが繰り返されないように、
心に刻んでほしいと願います。

社会の隙間が生み出した“誰も知らない”世界。

この作品によって“誰も知らない”世界が、
“誰もが知っている”世界に変わることを祈っています。


評価★★★★★★★★☆☆(10点満点中8点 …1点)


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誰も知らない

「誰も知らない」ができるまで


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テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

エル・トポ
完成から15年あまり、もはや神聖化し、見ることが不可能とさえ云われた
鬼才ホドロフスキーが全人類に問う----惨劇のオペラ・・・・・



エル・トポ
原題: EL TOPO
エル・トポ

製作年:1969年 製作国:メキシコ 123分
監督:アレハンドロ・ホドロフスキー
出演:アレハンドロ・ホドロフスキー、ブロンティス・ホドロフスキー、デヴィッド・シルヴァ
    ポーラ・ロモ、マーラ・ロレンツォ、ロバート・ジョン

第2回アボリアッツ映画祭審査員特別賞受賞

【ストーリー】

山賊、哲学者、自然主義者、聖人などを次々と撃ち殺して行くエル・トポと呼ばれるガンマン。
荒野を血で染め抜いた挙句、命を落としたエル・トポだったが、
やがて彼は僧侶として再生し、地底生活を余儀なくされているフリークスを眼にする。

【感想】

この作品を観たのは、もう十数年前になりますが、
全てのシーンが頭の中に焼きついている、とても衝撃的な作品でした。

“メキシコ映画祭”でささやかに上映されただけの伝説的なカルト映画として有名なこの作品、
どれだけカルトなのか確認しようと思って観てみたのですが、
自分のカルト作品への考え方がどれだけ甘かったのかを思い知らされた作品でもあります。

あのジョン・レノンがこの作品と次回作の興行権を45万ドルで買い取った事も有名な話ですね。

「もしフェリーニが西部劇を、黒澤の宗教映画を撮ったらこうなったであろう」と賞賛されたこの作品。
実際にはフェリーニや黒澤がこの作品をとったら間違いなく、まったく違った作品になるでしょうね。
彼らの作品と比べるのは間違っていて、この作品は完全なるホドロフスキー・ワールド。
この作品を表現する事がどれだけ難しい事なのかが、この言葉から分かると思います。

実際に自分もレビューを書こうと思い立ちましたが、
どんな表現でレビューしたらよいのか分からなくなっています(^^;
というか言葉の表現だけでは、この映画の世界観を伝えるのは非常に難しいんです。

それでも頑張ってレビューしようと思います(^^

物語は非道のガンマン:エル・トポが5歳になる息子と旅をしているところから始まります。
ならず者たちを次々と殺して行くエル・トポ。
一緒に旅をしていた5歳の息子を捨て、恋人と二人で旅立ったエル・トポは、
愛の証に砂漠にいる四人のマスターガンマンを殺す旅を始めます。
彼らとの死闘の中、自らを神と信じていたエル・トポは強さと正義、そして自分の心と対峙し、
全てを失い、長い長い眠りにつく。
そして長い眠りから覚めたエル・トポは社会から見捨てられ地底生活を余儀なくされている
フリークスたちに神と崇められていることを知る。
そしてエル・トポはこの途絶した村を救おうと決意する。

あらすじはこのような感じなのですが、実際にはこんなに簡単ではありません。
これは観て頂ければ分かるのですが、とても複雑なのです。

ならず者を容赦なく殺したり、息子を捨てたり、
恋人のためにマスターガンマンを殺す旅に出たりと、
エル・トポは自分を神と言い放つような卑劣で非道な人間。

前半のメインである4人のマスターガンマンとの戦いは、
そんな卑劣なガンマンであったエル・トポの人間性を問う、
とても奥の深い戦いであり試練だったのかもしれません。

その戦いにより、自分が今まで信じていたものが崩壊し、打ちのめされ、
全てを否定され、全てを失い、長い眠りにつく。

極悪非道で自分だけを信じていたエル・トポが、
究極の戦いの中で見た神の領域。

それがエル・トポを長い眠りへと導いたのでしょう。

その長い眠りから覚めたエル・トポは地底生活を余儀なくされた
フリークスたちと出会い、社会から疎外された彼らを救うべく立ち上がります。

その姿はまるで聖者。

極悪非道のガンマンだったエル・トポが長い眠りの末にたどり着いた真実。

正義とは何か。

神とは何か。

極悪非道なガンマンの殺戮から人間性を問う物語へ、
そして究極の領域を超えた、神という未知なる存在へ。

とても独創的な物語、残酷でありながらも美しすぎる悪夢のような映像の数々、
神学的であり、哲学的であり、宗教的である異色の西部劇。

その中には欲望、嫉妬、憎悪などの人間の裏側、
正義、愛情、思いやりなど人間の表側、
人間が持つあらゆる感情、人間としての本質、人生そのものがあります。

まさしく伝説のカルト映画というのに相応しい映画でした。

生と死、正義と悪をまるで一編の詩のように謳い上げたこの作品。
映画のようで映画ではない。
とても単純な物語であり、とても難解な物語。
まさに映画とう枠を超えた究極の映画ではないかと思います。

アレハンドロ・ホドロフスキー監督が全てを投じて作り上げた、
常識から逸脱した難解さを持つ一大パノラマ叙事詩であり、
強烈なインパクトを残す、衝撃的な作品です。

あえてオススメはしません。
この作品は非常に独創性に溢れ、全体的な物語は単純なのですが、
作品自体がものすごく難解です。

たぶん、途中で観るのを止めてしまう方と最後まで観続ける方とで、
二つに分かれると思います。

観てみようと思う方は、そこをふまえた上でご鑑賞下さい。

最後まで観る事が出来た方は、
この作品が伝説の映画、そして伝説のカルト作品として、
語り継がれている意味がお分かりになるでしょう。


評価☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(10点満点中0点 …1点)
※0点は評価の付けられないカルト映画という意味です。

<DVD情報>

エル・トポ

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テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

コーラス
涙がこぼれそうなとき、歌があった。


コーラス
原題: LES CHORISTES/CHORISTS



製作年:2004年 製作国:フランス 97分
監督:クリストフ・バラティエ
出演:ジェラール・ジュニョ、ジャン・バティスト・モニエ、ジャック・ペラン、フランソワ・ベルレアン
    マリー・ビュネル、カド・メラッド、マクサンス・ペラン、ジャン・ポール・ボネール

【ストーリー】

世界的指揮者のピエールは公演先で母の訃報を知り、葬儀のために故郷へと戻ってくる。
そんな彼に古い友人のペピノから渡された一冊の日記を手にし、当時を回想する・・・
1949年フランス、少年だった彼らが共に青春時代を過ごした問題児が集まる寄宿舎に、
音楽教師のマチューが赴任してくる。
体罰で規律を保とうとする校長に疑問を持ったマチューは、子供達の心を開くため、
合唱団を結成し、歌を通じて子供達の純粋な心を取り戻してゆく。

【感想】

手に負えない問題児ばかりが集まる寄宿学校、
子供達を体罰により規律を保とうとする校長の教育方針、
その体制に反発し、歌によって子供達の純粋な心を取り戻そうとする新任教師、
もういかにも王道な物語ですが、それが逆にストレートに心に響いてきました。

人と人との関係は複雑ですが、その複雑な関係を真っ直ぐな関係にするためには、
やはりストレートに心と心を通わせることが大切なのだと思います。

そして人の心を癒し、人の心を真っ直ぐにできる大きな力を、
“歌”そして“音楽”が持っているという事を、この作品を観てあらためて感じました。

きっと歌を歌っている時って、心がまっさらになっているんでしょうね。

境遇や立場、苦しみや悲しみなど、誰もが心の中に問題を抱えていると思います。
そんな苦しみや悲しみも歌っている時は全てを忘れて、
歌の世界に入り込み、とても純粋で真っ直ぐな心になるんだと思います。

多くの問題児を抱える寄宿学校では、
あまりの手の施しようのなさに体罰で子供達を縛り付けていました。
でも、それでは逆効果ですよね。
確かに必要な場合もあると思います。
しかし、それだけでは本当に子供たちの心を真っ直ぐにすることはできません。

何かの問題を抱える人の体を縛りつけるのではなく、
その問題に苦しむ心を解放してあげる必要があるのだと思うのです。

心の底に埋もれてしまった純粋で真っ直ぐな心。

それを解き放つキッカケとなったのが“歌”だったのです。
そして音楽教師のマチューの直向な努力が、
少年たちの心を解放したのだと思います。

自分の事を真っ直ぐにしっかりと見つめてくれる。
これほど嬉しい事はないですよね。
とくに心に問題を抱えた少年たちにとっては、一番必要なものだと思います。

“歌”が深く、重く沈んでしまった心を解き放ち、
自分の事を思ってくれているという優しさと愛情が、
少年たちの純粋な心を甦らせたのです。

少年達が“歌”を通じて生きる事の素晴らしさ、愛することの尊さ、
そして人を思いやる事の大切さに目覚めてゆく姿を見て、
自分の心の中にある純粋な心が甦ってくるような、
心が洗われたような、そんな感覚になりました。

とてもシンプルで王道な物語の中に、大人になって忘れかけていた、
とても大切なモノが沢山詰まっていました。

少年たちが合唱団を結成し、最初はバラバラだった歌声が、
次第に美しいハーモニーへと変化して行く過程はとても素晴らしかったです。
そして何よりも驚いたのは、
少年時代のピエール役、ジャン・バティスト・モニエの美しい歌声。
思わず聞き入ってしまうほど、素晴らしい歌声でした。
まさしく“天使の歌声”でしたね。

そのピエールの大人になった役をジャック・ペランが渋く演じていました。
少年時代を回想する展開は「ニューシネマ・パラダイス」と似てますね(^^

音楽教師マチューを演じたジェラール・ジュニョ。
今まで彼の出演作は観た事がないのですが、
とても味があって良い役者さんですよね。
彼の出演作「バティニョールおじさん」は以前から観たいなぁと思っていたので、
この機会に観てみようと思います(^^

“歌”によって閉ざされた少年たちの心を開き、
本当の喜び、本当の幸せ、そして“希望”を持つ心を与えたひとりの音楽教師。

少年たちにとって、かけがえのない出会いだったのだと思います。
そんな先生に出会えるなんて、とても幸せな事ですよね。

産まれた時から心が悪魔なんて子供は一人もいません。
その深く沈んでしまう心を作ってしまうのは、社会であり大人なのです。

でも、その大人が真っ直ぐに子供を見つめてあげる事さえできれば、
子供たちは真っ直ぐな心を育てていけるのです。

その一つのキッカケとなったのは、とても優しい歌声。

心が癒され、純粋な気持ちになれる優しい歌声。

忘れてしまった心を取り戻す事ができる優しい歌声。

その優しい歌声は子供たちだけではなく、
大人になった私たちにも大切なモノを思い出させてくれます。

とても優しさに溢れた作品でした。
そしてシンプルで純粋で心温まる物語が、
大人になり、疲れ果てた自分の心を癒してくれました。

大人になった皆さんに是非観て頂きたい作品です。
疲れてしまった心を、優しさと温かさに包まれた世界に、
美しく爽やかな歌声が導いてくれます。


評価★★★★★★★★☆☆(10点満点中8点 …1点)


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コーラス メモリアル・エディション


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スリザー
彼らの侵略は、“口”から始まった。


スリザー
原題: SLITHER



製作年:2006年 製作国:アメリカ 96分
監督:ジェームズ・ガン
出演:ネイサン・フィリオン、エリザベス・バンクス、マイケル・ルーカー、グレッグ・ヘンリー
    ブレンダ・ジェームズ、タニア・ソルニア、ロイド・カウフマン、ロブ・ゾンビ

【ストーリー】

アメリカ南西部の田舎町に小さな隕石が落下、その日を境に町では奇妙な事件が続発し、
その町の警察署長のビルは、町の有力者グラントの異様な変化に目をつける。
ビル警官たちと共に森の小屋へと逃げ込んだグラントを追い込むが、
警官達は無数の地球外生命体“スリザー”に“口”から浸入されてしまう。

【感想】

とってもB級映画風の香ばしい臭いがプンプンする作品でしたので、
迷わずレンタルしまいました(笑)

この系統の作品はもう誰が止めようとも絶対観てしまいますね(^^

監督はロメロ監督の名作ホラー「ゾンビ」のリメイク作である、
「ドーン・オブ・ザ・デッド」を撮ったジェームズ・ガン監督。
きっとジェームズ・ガン監督は70年代から80年代にかけて製作された名作ホラーをはじめ、
B級ホラー映画、B級SF映画が大好きなんでしょうね。
その頃の映画にオマージュを捧げたシーンが数多く登場します。

そして地球外生命体のビジュアルも80年代に量産されたSFホラー作品の影響を
もろ受けていて、どこか懐かしい雰囲気が漂ってました(^^

物語は田舎町に落下した隕石から地球外生命体“スリザー”が現れ、
人々に乗り移り、地球を侵略しようというお話。

あとはその物語に沢山の名作からB級までのSFホラー映画のオマージュを散りばめて、
ブラックユーモアで味付けしたって感じです(笑)

この地球外生命体の侵略という世界的規模の危機的状況を、
片田舎で起こった事件として描いてしまう、このB級映画らしい展開(笑)

そこに登場する町の人々の真剣なんだかふざけてるんだか分からない行動(笑)

いや、とてもB級映画らしくて良かったです(^^

特に地球外生命体“スリザー”の本体は人間の形からどんどん崩れてゆき、
原型を留めずデカくなってゆくところなんかは、
80年代に量産されたSFホラーの王道でしたし、
“スリザー”に乗っ取られた人々がゾンビみたいになっちゃうのも、
変な液体を吐きかけるのも、地球外生命体が口から浸入するのも、
いろんなホラー映画の要素を拝借している感じがあってとてもgoodでした。

そんなB級テイスト満載な本作ですが、
意外とホラー映画の基本となる部分はしっかりと描かれているんですよね。

B級SFホラーですとキャラクターの設定は薄く、
とにかく映像とアイデアで勝負することが多いですが、
この作品ではキャラクターたちに背景や人物像を設定しているので、
彼らと共に“スリザー”の侵略との戦いを一緒に体験できるような感覚になります。

これはやはり映画に愛があってこその設定だと思うんですよね。

そんなSFホラー映画に愛を注ぐジェームズ・ガン監督はどんな人なんだい?
ということで調べてみたところ、なんとあの知る人ぞ知るトロマの出身じゃないですか!

トロマと言えばB級ホラー作品を連発している伝説の映画制作会社。
この作品にも出演している伝説の男ロイド・カウフマンが設立した会社ですね。

知らない方のためにトロマの事ををちょっと説明しますと、
ホラー映画やコメディ映画など、とてもくだらない設定のB級作品を量産し続けていまして、
代表作は「悪魔の毒々モンスター」シリーズ、ちょっと前では「キラー・コンドーム」など
ナンセンスでグロテスクな作品が多いです。
カルト的な作品が多く劇場公開されない作品が多いですが、
一部のマニアックなファンが結構いるのでDVD化される事が多いです。

トロマ作品に関しましては、普通の方は観ない方が良いと思います(笑)

ちょっと脱線しましたが、そんなトロマ出身の監督ですから、
80年代ホラーは教科書みたいなものですね。

トロマ出身という事と、この作品の内容から監督の趣味が分かったような気がします(^^

この作品はトロマ作品と比べればかなり一般向けに近い出来上がりですので、
SFホラー系作品が好きな方、そしてB級映画好きの方は楽しめるんじゃないかと思います。

Toy's的にはいろんな過去の作品のオマージュやB級テイスト満載の物語、
懐かしいクリーチャーのビジュアル、全体的なユルさなどなど、
結構楽しんで観れました(^^

逆にダメな方は絶対ダメだと思うので観ない方が得策かもしれません(笑)

まぁ、こんな感じの作品ですが、21世紀になっても、
この系統の映画を撮った監督のチャレンジ精神は賞賛に値すると思います(^^

このレビューを読んで観てみようかなと思った方は、
是非、肩の力を抜いて楽しんでご鑑賞下さい。

たまにはこんな作品を観るのも、頭を休ませる意味で良いかと思います(笑)


評価★★★★★★☆☆☆☆(10点満点中6点 …1点)


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スリザー プレミアム・エディション


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ヒルズ・ハブ・アイズ
忌まわしい記憶の眠るアメリカの荒野を舞台に、旅行中の一家が極限の恐怖と対面する!


ヒルズ・ハブ・アイズ
原題: THE HILLS HAVE EYES



製作年:2006年 製作国:アメリカ 107分
監督:アレクサンドル・アジャ
出演:アーロン・スタンフォード、キャスリーン・クインラン、ヴァネッサ・ショウ、エミリー・デ・レイヴィン
    ダン・バード、ロバート・ジョイ、テッド・レヴィン、トム・バウアー、ビリー・ドラゴ

【ストーリー】

家族旅行中のカーター一家は人里離れた砂漠を移動中に車が故障してしまい、
荒野の真っ只中で立ち往生してしまう。
家族をトレーラーに残し、父親のボブと娘婿のダグが助けを呼びに向かうが、
その場所は核実験場の近くにあり、放射能によって突然変異を起こした食人一族が住む場所だった。

【感想】

ウェス・クレイヴン監督(「エルム街の悪夢」など)が1977年に発表したカルト・ホラー「サランドラ」を、
フランス人監督アレクサンドル・アジャ(「ハイテンション」)がリメイクしたスプラッター・ホラーです。

久しぶりに見応えのあるホラー映画に出会えたって感じです(^^

オリジナルである「サランドラ」は今から16、7年前に観た記憶があります。
全米○○州で上映禁止!!みたいなキャッチコピーを見て、
どれだけ怖いのか確かめてみようとレンタルしました。

その当時は俗に言うスラッシャー映画というのは、あまりなかった記憶があります。
「13日の金曜日」シリーズとか「ハロウィン」シリーズあたりが有名でしたが、
砂漠のど真ん中で立ち往生し、そこに食人一族が襲い掛かるという設定はとても斬新でした。

オリジナルは低予算ながらウェス・クレイヴン監督のホラーへの愛が全面に押し出されていて、
頑張って作りました的な出来栄えだったと思います。
マニアックでちょっと変な感じのカルト作と言う言葉が似合うかもしれません。

そんなカルト作をリメイクした今作は、オリジナルの設定はそのままに、
今風のアレンジを加えた新しい作品として生まれ変わっていました。
今作ではカレクサンドル・アジャ監督のホラーへの愛情がひしひしと伝わってきましたね。

どこまでも広がる青い空、乾いた空気、黄金色の砂漠、
美しい風景の中で繰り広げられる惨劇。

ホラー映画と言えば森の中や廃墟など、暗く狭い空間が舞台設定が多いですが、
今作では砂漠のど真ん中というだだっ広い場所が舞台です。
ただ、そのだだっ広い砂漠の中で、周りに民家や店もない、電話も無線も通じないという、
ある意味閉鎖された空間となっています。

そこに家族旅行で通りかかったカーター一家。
長年務めた警察を退職した父親ボブ、その妻のエセル、
長女のリンと夫のダグ、その夫婦の産まれたばかりの娘、
次女のブレンダ、長男のボビー、そして犬が二匹。

この壮絶な殺戮に遭う被害者としては珍しい設定ですよね。
スラッシャー映画の被害者というと基本的には若者が多いと思います。
ヤクをやっていたり、Hな事しか頭になかったりと、
おバカな若者が餌食になるっていうのが定番ですよね(笑)

この作品では銀婚式を迎えた老夫婦、赤ん坊のいる夫婦といった、
“家族”がターゲットになるということで、
観客を感情移入させることに成功していると思います。
この家族という設定が、この映画が他のスラッシャー映画と異なり、
襲われる人々の人物設定に奥行きを持たせる事が出来たんじゃないかと思います。

そして食人一族たち。
核実験の放射能によって突然変異を起こし、奇形となって生まれた人々。
そのビジュアルはめちゃくちゃ強烈でした。

今でこそ、食人殺人鬼という設定はホラー映画では当たり前(?)ですが、
元ネタがこの作品のオリジナルと言っても過言ではないかと思います。
そのオリジナルを上回る強烈なビジュアルと大胆な殺人方法、
そして人道を外れた食人という設定は観ている人々に強烈な嫌悪感を抱かせます。

砂漠のど真ん中に取り残された家族とその家族を狙う食人一族との決死の攻防。
家族が足止めをされる前半までは、ゆっくりと物語が進みます。
そして、食人一族が次第に迫ってくる恐怖をじっくりと描いた後、
中盤から後半までたたみ掛けるように、壮絶な殺戮が始まります。

グロテスクな映像や殺戮シーンは、この系統の映画を見慣れた人にとっては、
それほど目新しいものはないと思います。

この作品で一番恐怖を感じる、というか他の作品にないものを持っている部分というのは、
食人一族の暴力性だけではなく、ターゲットとなった家族の人間たちも、
その理不尽な暴力によって目覚めて行く暴力性を描いているからだと思います。

特に後半の展開は凄まじいです。
気弱だった人が、家族を救うために暴力性に目覚めて行きます。
家族を愛する人間的感情と、人を人とみなさない者への非人間的感情。
暴力が暴力を生み、暴力が暴力を爆発させる。
グロテスクな映像、食人一族の殺戮シーンよりも、
その内なる暴力性を爆発させる普通の人間の姿の方が一番恐ろしいと感じました。

この作品がとても見応えがあったのは、その人間性と暴力性が描かれていたからだと思います。

ただのスラッシャー映画の域を超えた、
人間性、暴力性を描いたとても奥が深い作品だったと思います。
この作品を観た後はB級映画に見られるお気楽で単純なスラッシャー映画がとても薄く感じますね。

ゆっくりとした流れから息付く暇もないほどスピーディな展開に変化し、
理不尽な暴力によりなす術もない状況から、暴力性を爆発させる展開、
そしてグロテスクで強烈な殺戮シーンなど、悪夢のような世界が繰り広げられます。

スラッシャー映画らしいツッコミどころも満載でしたが、
それを吹き飛ばすほどの勢いがこの作品に感じられました。

今観れば、ありきたりな設定かもしれません。
しかし、この作品はそのありきたりな設定の裏に隠された真の恐怖を味わう事ができます。

そんな真の恐怖を味わいつつ、ラストでは何ともいえない爽快感も味わえます。
それは観てのお楽しみです(^^

普通のスラッシャー映画を観飽きてきた人にはオススメできる作品だと思います。

この作品の続編「ヒルズ・ハブ・アイズ2」も近々レンタルされますね。
続編にはいつも打ちのめされるので(笑)、あまり期待せずに観ようと思います(^^


※作品のレビューには関係ないのですが、最近ホラー系を観すぎたせいか、
 ゾンビが街に溢れている中を逃げ惑い、殺人鬼に追いかけられたあげく、
 爆弾でゾンビと殺人鬼もろとも自爆する夢を見ました(^^;
 かなりの超大作でした(笑)
 皆さんもあまりホラー系を続けて観ないように注意して下さいね・・・
 って自分だけかな(汗)


評価★★★★★★★★☆☆(10点満点中8点 …1点)


<DVD情報>





ヒルズ・ハブ・アイズ


オリジナル作品「サランドラ」もDVD化してますので、
興味がある方は一度ご鑑賞してみては如何でしょうか。






ちなみに「サランドラⅡ」という続編もあります。
こちらの方がよりカルトっぽ気がします(^^;







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グッバイ、レーニン!
「お母さん、ありがとう」


グッバイ、レーニン!
原題: GOOD BYE, LENIN!

グッバイ、レーニン!

製作年:2003年 製作国:ドイツ 121分
監督:ヴォルフガング・ベッカー
出演:ダニエル・ブリュール、カトリーン・ザース、マリア・シモン、チュルパン・ハマートヴァ
    フロリアン・ルーカス

第53回ベルリン国際映画祭:ヨーロピアンフィルム賞 受賞

【ストーリー】

1989年、東ベルリン。父親は10年前に家族を捨て西側に亡命し、その反動から愛国心が強まった
母親を持つ青年アレックスは、ある日密かに反社会主義デモに参加。
アレックスが警察と衝突するところを偶然目撃した母親クリスティアーネは、
ショックで心臓発作を起こし昏睡状態に陥ってしまう。
意識が戻らないまま、ベルリンの壁が崩壊、東西ドイツは統一される。
それから8ヵ月後、奇跡的に目を覚ました母親にショックを与えないため、
アレックスはクリスティアーネの周囲を統一前の状態に戻し、
世の中が何も変わっていないように振る舞うのだが・・・。

【感想】

ベルリンの壁の崩壊、そして東西ドイツの統一という、
激動の時代を生きた家族の姿を、とても優しい目線で描いた作品です。

「善き人のためのソナタ」もそうでしたが、
最近はベルリンの壁が崩壊した時代を描く作品が少しずつ増えてきた気がします。
14年という月日が、ドイツ国民の心を少しずつ癒していったのかもしれませんね。

そんなドイツにとって歴史的な時代を背景に、
母親想いの青年アレックスが、母親クリスティーナのためについた、
心優しい嘘によって起こる騒動をコミカルなタッチで描いています。

クリスティーナは夫が10年前に西側に亡命して以来、愛国心が強まり、
全てを捧げるかのように、国のために貢献してきました。

そんなある日、反社会主義デモに参加したアレックスの姿を観てショックを受けた
クリスティーナは心臓発作を起こし昏睡状態に陥ってしまいます。

意識が戻らないままベルリンの壁が崩壊し、東西ドイツは統一され、
ドイツ国内は急激に変化してゆきます。

それから8ヶ月後、クリスティーナは奇跡的に目を覚まします。

しかし、ショックを与えてしまうと命の危険があるため、
激変したドイツ情勢を母親に知られないように、
アレックスは自宅を東ドイツ時代の頃と同じ状態に戻し、
今までと変わらない生活を送れるように奮闘します。

その息子から母親へと送られる精一杯の優しさが、とても心に響きました。

家族、隣人、知り合いを巻き込んで大きくなってゆく、優しい嘘。
母親の命を守るため、必死になって東ドイツ時代の食料品や日用品を探すアレックスの姿を、
コミカルなタッチで描いていますが、その姿はとても優しさと温かさに溢れていました。

母を想う息子の姿、息子を想う母の姿は東も西も、社会主義も資本主義も関係ない。
考え方は違えども、家族への愛はどの国でも変わらないんですよね。

アレックスを演じたダニエル・ブリュールの演技はとても素晴らしかったと思います。
母親の理想を理解しつつも、西側の自由な社会にも適応し、
母親を想い、周りの人々をも巻き込んだ嘘を必死になって続ける姿を、
繊細な演技で見事に演じていました。
今まで彼の出演作は観た事ないなぁと思っていたら「ボーン・アルティメイタム」に
出演していたんですね、全然気がつきませんでした(^^;
今後の活躍が気になる役者さんになりました。

この作品の中で家族の愛を描くと同時に、ベルリンの壁が崩壊し、
西側の文化を東側の人々が次第に受け入れていく様子が描かれているのが、
とても興味深かったですね。

統一されたドイツの情勢はニュースや新聞などでも知る事ができましたが、
実際にその場にいた人々がどのように感じ、どのように受け入れていったのか、
そんな東側の人々のとまどう気持ちが伝わってきたと思います。
まぁ、映画なので推測や脚色はあると思いますが。

ベルリンの壁が崩壊し、社会情勢が激変したとしても、
家族を愛する気持ちは変わらない、家族への想いは決して崩れない、
そんな普遍的な愛情が、この作品にはあります。

政治色の強い歴史的な事実を背景に、
息子から母親へと送られる“優しい嘘”と“大きな愛”を、
時にコミカルに、時に優しく、時に感動的に描いています。

そのバランスの良さが、この作品に好感が持てるところなのだと思います。

この作品はドイツの歴史を描いた作品であり、
家族愛を描いた心温まる作品であると同時に、
母親を想う息子の“嘘”が織り成すファンタジーと言っても良いかと思います。

とても深い愛情と優しさに包まれた素晴らしい作品でした(^^


評価★★★★★★★★☆☆(10点満点中8点 …1点)


<DVD情報>

グッバイ、レーニン!

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「グッバイ、レーニン!」オリジナル・サウンドトラック(CCCD)


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この森で、天使はバスを降りた
誰にも言えない過去を抱えて、彼女はここにやって来た―――。
凍てついた心を癒せるのは傷ついた心だけ・・・。



この森で、天使はバスを降りた
原題: THE SPITFIRE GRILL



製作年:1996年 製作国:アメリカ 116分
監督:リー・ヴィッド・ズロトフ
出演:アリソン・エリオット、エレン・バースティン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ウィル・パットン
    キーラン・マローニー、ゲイラード・サーテイン、ジョン・M・ジャクソン

1996年サンダンス映画祭:観客賞 受賞

【ストーリー】

森の奥深くにある小さな町を通るバスからパーシーという女性が降りてくる。
彼女はハナという無愛想な女性が経営するレストラン『スピットファイアー・グリル』で働くことになる。
ハナをはじめ、町の人々はよそ者であるパーシーに奇異のまなざしを向けるが、
パーシーの魅力に周囲の人々は次第に惹かれてゆく。
しかし、彼女には誰にも言えない暗い過去があった。

【感想】

当時タイトルとパッケージの写真に惹かれてレンタルした作品なのですが、
この作品の持つ人間の温かさ、そして優しさにとても心打たれました。

タイトルもそうですが、作品の内容自体も一編の詩を観ているような、
とても美しい映像、そしてとても美しい人間ドラマがありました。

美しいといっても、この物語に登場する人々は、
それぞれの心の奥底に何かしらの問題を抱えています。
それはとても美しいといえない暗い過去や問題ばかりです。

そんな人々が住む、森の奥深くにある町ギリアドは田舎町で、
“よそ者”を毛嫌いしたり、猜疑心の塊だったりと、
とても臆病で自分を守るのが精一杯な人々が暮らしています。

そんな田舎町ギリアドにパーシーという女性がバスから降り立ちます。
誰にも言えない過去を抱えながら・・・。

そのギリアドにはインディアンの伝説があり、
神が“最も美しい場所”として降り立ったという言い伝えがありました。

彼女がこの町を選んだ理由は、この伝説と彼女の過去が大きく影響しています。

この町の保安官に職場としてハナという女性が経営する小さな食堂、
『スピットファイアー・グリル』を紹介され、働く事になります。
この食堂の名前がこの作品の原題になっています。

食堂の経営者ハナもまた、心に大きく傷を持った女性でした。
最初はパーシーを“よそ者”扱いしていたハナでしたが、
彼女の温かさ、優しさ、そして純粋な心に触れることにより、
次第に心を開いてゆきます。

それはハナだけではなく町の住人たちも、
パーシーの純粋な心、不思議な魅力によって彼女に心を開いてゆきます。

彼女の直向な姿、純粋な心、そして美しい心が、
町の人々の心を大きく包み込んでゆくのです。

心に傷を持っていたり、問題を抱えていたり、
人には言えない苦しみや悲しみは誰もが持っていると思います。

それを乗り越えるのは、他の誰でもない、自分自身です。

でも、自分だけで乗り越えるのはとても難しい事です。
そのキッカケや影響を与えてくれるものは、
誰かの“笑顔”なのではないかと思うのです。

その“笑顔”に希望や愛情、強さ、美しさ、心の温かさ、
そして人の心の“優しさ”を感じ、心が癒されてゆくのだと思います。

人はひとりでは生きてゆくことはできません。
自分では気がつかないかもしれませんが、
人は、人と人との繋がりがあるから生きてゆけるのです。

それは表面的な繋がりではなく、心の繋がり。
自分では気がつかない、とても自然で奥深くにある繋がりです。

ギリアドという町に訪れた奇蹟。
それは多くの人を包み込む“笑顔”を持った天使。

そう、“この森で、天使はバスを降りた”のです。

前半から物語は淡々と進んでゆきます。
そして、人間の中にある醜い心、妬み、差別、
どうすることもできない事へのやり場のない苦しみ、
そんな人間の誰にも見せたくない部分が、
ある事件により少しずつ加速してゆきます。

そして、その誰もが持つ苦しみや悲しみに触れることにより、
町の人々は、この森に舞い降りた天使によって、
人間の清い部分、暖かくて優しい人間の心を知る事になるのです。

この作品の監督の名前は今作で初めて知りましたが、
この作品以前も以降も映画を撮っていないようです。
この作品がとても良かっただけに、とても不思議なのですが、
今は何をやっているのでしょうか?

出演もエレン・バースティン以外は全然知りませんでした。
でも逆にそれが役者や監督に対する先入観を持たずに観る事が出来たので、
良かったのかもしれないですね(^^

誰もが持つ心の中にある苦しみや悲しみ、
そして人々の奥深くにある心の闇描く事によって、
そのまったく逆の位置にある、人間の心の温かさ、優しさ、
そして愛情をとても強く感じる事ができました。

その闇の中にある一筋の光、天使がもたらした希望の光は、
誰もが必ず心の中に持っているものなのです。

その希望の光は自分自身だけではなく、
他の誰かへの希望の光となっているのです。

この作品を観て、誰かが、誰かのために行う行動、
そして誰かが、誰かのために想う気持ちが、
とても大切な事であることを教えられたような気がします。

そして町の人々と同じように、パーシーの純粋の心に触れたことにより、
自分の心の中で忘れてしまっていたもの、失ってしまったものを、
もう一度取り戻せたような、そんな気持ちになりました。

切なく悲しい物語ですが、ラストには爽やかな余韻と、
人間の優しさと温かさが心に響く、とても素晴らしい作品だったと思います。


評価★★★★★★★★☆☆(10点満点中8点 …1点)


<DVD情報>





この森で、天使はバスを降りた


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AVP2 エイリアンズvsプレデター
新種降臨


AVP2 エイリアンズvsプレデター
原題: ALIENS VS. PREDATOR: REQUIEM



製作年:2007年 製作国:アメリカ 94分
監督:ザ・ブラザーズ・ストラウス(コリン・ストラウス、グレッグ・ストラウス)
出演:レイコ・エイルスワース、ジョン・オーティス、アリエル・ゲイド、クリステン・ヘイガー
    サム・トラメル、ロバート・ジョイ、デヴィッド・パートコー

【ストーリー】

コロラド州の人口5000人余りの小さな町ガニソンに、プレデターから生まれた最凶のエイリアン、
“プレデリアン”を乗せた宇宙船が墜落。町にエイリアンが解き放たれてしまう。
それを追って地球にやってきた最強のプレデターが、町の住人を巻き込んで壮絶な戦いを繰り広げる。

【感想】

SF映画を代表するエイリアン同士が激突した「エイリアンvsプレデター」の続編です。

今回は前作のラストで生まれたプレデターの能力を継承したエイリアン“プレデリアン”と、
最強のプレデター“ザ・クリーナー”の戦いをメインに壮絶なバトルが展開します。

劇中では“プレデリアン”という名前も“ザ・クリーナー”という名前も、
セリフどころか、説明すら一切出てきませんが(^^;

エイリアンの繁殖能力、統制された軍隊、残虐性など、
エイリアンのお約束はしっかり守られていました。

そのお約束を守りつつ、新種のエイリアン“プレデリアン”が今作では大暴れします。
プレデターのドレッドヘアを身に付け、他のエイリアンよりも一回り大きい、
そしてクィーンのように卵を産み付けることが出来る、ボスキャラ的存在です。

プレデターの高度な文明による多彩な武器、戦士としての誇り、
そして残虐性などプレデターのお約束もしっかりと守られていました。

今作ではプレデリアンを追って最強の戦士ザ・クリーナーが登場します。
凄まじい戦闘能力と何でも溶かしてしまう液体を持って、
次々とエイリアンたちを始末してゆきます。

その二大エイリアンが地球に降り立ち、壮絶なバトルを繰り広げる、
そこが今作の見所なのですが・・・・

肝心な戦闘シーンのほとんど全てが 暗い!!

これでもかってくらい 暗い!!

何がどこでどんな風に戦っているのかまったく分からないくらい 暗い!!

B級映画でも、ここまで暗いのはなかなかないんじゃないかと思います(笑)

人間たちが活躍する場面はそこそこ明るいんですよ。
でもエイリアンとプレデターが登場すると一気に暗くなる(笑)

最大の見せ場がまったく見えないっていうのは・・・どうなんでしょう?

とにかくその暗さばかりが気になって映画に集中できませんでした。
まぁ、物語っていう物語はないんですけどね(^^;

せっかくエイリアンとプレデターという素晴らしいキャラクターを使えるのに、
とてももったいない作り方だったかなと思います。

新種のエイリアンや始末屋のようなプレデターなどアイデアは良かったと思います。
そしてラストの雨の中のガチンコバトルなど設定も良い部分もありました。

とくに前作と違ってプレデターも人間の味方っていう感じの描き方ではなく、
本来の残虐性をしっかりと描いているところ良かったです。
そしてあのシュワちゃんに「恐ろしくブサイク」と言わしめた顔を持つ、
あのプレデターがめちゃくちゃ格好良くて、めちゃくちゃ強かったのも良かったです(^^

でも、その良かった部分が画面の暗さによって全て帳消しになってしまった気がします。

そしてSFホラー映画ではお馴染みのツッコミどころも満載でした(^^
これは言い出すとキリがないのでやめておきます(笑)

ラストもどうなんでしょうねぇ、
何か最近よく見かける困ったときの必殺技的なラストでしたね。

あ~、ホント勿体無かったなぁ。

必殺技的なラストと戦闘シーンの暗さがなければ結構楽しめたと思うんだけどなぁ。

まぁ、でもエイリアンとプレデターがガチンコ勝負するっていう展開だけでも、
両作品もファンとしては満足なんですけどね。

こうなったら難しいかもしれませんが3作目が出来る事を期待します。
そして、もっと明るくなる事も期待します(笑)


評価★★★★★☆☆☆☆☆(10点満点中5点 …1点)


<DVD情報>





AVP2 エイリアンズVS.プレデター 完全版 (初回生産分限定特典ディスク付・2枚組)





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オリジナル・サウンドトラック「AVP2 エイリアンズVS.プレデター」

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ゾンビーノ
僕のはじめての友達はゾンビだった…


ゾンビーノ
原題:FIDO



製作年:2006年 製作国:カナダ 93分
監督:アンドリュー・カリー
出演:キャリー=アン・モス、ビリー・コノリー、ディラン・ベイカー、クサン・レイ
    ヘンリー・ツェーニー、ティム・ブレイク・ネルソン、ソニヤ・ベネット

【ストーリー】

長い間続いたゾンビ戦争に勝利した人々は、ハイテク装置の首輪でゾンビを調教し、
家事や単純労働を手伝ってくれる従順なペットとしてゾンビを飼うようになっていた。
そんな中、友達のいないイジメられっ子の少年ティミーの家にも、ついにママがゾンビを買って来る。
最初は無関心だったティミーは、ゾンビがいじめっ子から守ってくれたのをキッカケに、
ゾンビに“ファイド”という名前をつけ友達として接し始める。
しかし、ある日目を離した隙にファイドがとんでもない事件を起こしてしまう。

【感想】

ゾンビ映画+コメディという、とても斬新で新しいタイプのゾンビ映画です(^^

舞台設定は50年代風で、そのレトロな感覚と色彩豊かな映像が、
ゾンビ映画としては、とてもミスマッチなのですが、
何故かこの作品の雰囲気には意外と上手くマッチしていて、とても新鮮でした。

コメディと言っても現代社会や家族のあり方などを問う、
社会風刺の効いたとてもブラックな笑いで描かれています。

そしてゾンビ映画の王道はしっかりと押さえたグロテスクな場面もしっかりあります。

なのでゾンビ映画は苦手だけどコメディだから観てみよう、
なんて軽い気持ちで観ると結構キツいかもしれないですね(^^;

物語は簡単に言えば、よくある少年と飼っている動物(犬とかブタとか)の友情物語を
少年と飼いゾンビに置き換えたような感じです(笑)

最初は無関心だったゾンビに対して、いじめっ子から守ってくれたのをキッカケに、
ゾンビと友情を育んで行く・・・基本路線はとてもハートフルです。

しかし、普通では考えられないようなブラックな場面が沢山出てきます。
もう、ブラックすぎて笑えないところも多々ありましたが(^^;

ゾンビ映画というとジョージ・A・ロメロ監督の「Of The Dead」シリーズが有名で、
各作品にはかならず社会を強烈に風刺した内容が盛り込まれていますが、
今作ではそのゾンビ映画+社会風刺をブラック・コメディで描いているところが、
逆に笑いよりも、ちょっとした恐ろしさを感じました(^^;

ゾンビに“ファイド”と名付けて、次第に心を開いてゆく少年ティミー、
ファイドの優しさ(?)に次第に惹かれてゆく母親ヘレン、
そして次第に人間身を増してゆくゾンビのファイド、
普通に考えれば「おいおい、ゾンビだぜ!?」と思う、
ありえない展開なのですが、彼らの交流を観ているうちに、
そんな状況を自然に受け入れてしまう不思議な感覚に包まれます。

そしてファイドになぜかとても奇妙な魅力を感じてしまいました(^^;
ゾンビなのにゾンビらしくない、だけどすごくゾンビっぽい、
ゾンビなのに良い奴だけど、ゾンビらしく人を食べちゃう、
でもゾンビなんだけど、とても人間臭さが出ている、
なんか意味不明ですね(笑)

ありえない展開と言えば、ゾンビと人間の共存も、
今までのゾンビ映画ではありえない設定ですよね。

ハイテク装置の首輪によってゾンビの人間を食べたいという欲求を抑えて、
人間の命令に従うように出来るのですが、
あちこちで従順に働くゾンビの姿が、なんかすごく変な雰囲気なんです。

今までは、ただひたすらに人間を襲う姿しか描かれていなかっただけに、
人間と共存し、掃除をしたり、新聞配達したり、工場で働いたり、
首輪に紐を付けられて散歩されていたり(笑)と、
恐ろしいゾンビを見慣れているだけあって、とても不思議な感覚に陥りました。

しかも、今回の死者がゾンビ化してしまった理由は放射能を帯びた雲が
地球にやってきたためで、放射能は現在も地球上に存在するので、
生きている人が死ぬとゾンビになるっという設定です。

なのでゾンビを一掃しちゃえばいいじゃん的な考えではなく、
共存してゆく考え方になるんですね。
そこはとても上手い設定だなぁなんて思いました(^^

少年とゾンビのハートフルな交流に、ブラックな笑いを散りばめ、
王道のゾンビ映画のようなグロテスクな場面もしっかりと盛り込まれた、
まったく新しいタイプのゾンビ映画。

この作品もまた万人に受け入れれる作品ではないと思いますが、
今までにない新鮮さと奇抜なアイデアは一見の価値アリだと思います。

ですので、A級からB級まで、いろんなタイプのゾンビ映画を観れる方には
必見のゾンビ映画だと思います(笑)

ゾンビ映画が苦手で、ブラックな笑いはちょっと・・・
って方は絶対に観ないで下さい(笑)

とても好みが分かれる作品ですので、事前情報をしっかりとご確認の上、
ご鑑賞して頂く事をオススメします。

Toy's的にはゾンビ映画の新しい可能性を垣間見れたような感じで、
結構楽しめたかな(^^


評価★★★★★★☆☆☆☆(10点満点中6点 …1点)

結構楽しめたと言いながら評価はこんなもんですが(笑)


<DVD情報>





ゾンビーノ デラックス版


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