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Toy'sの映画感想ブログです。

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ダンサー・イン・ザ・ダーク
魂の歌声は、誰にも止められない。


ダンサー・イン・ザ・ダーク
原題: DANCER IN THE DARK



製作年:2000年 製作国:デンマーク 140分
監督:ラース・フォン・トリアー
出演:ビョーク、カトリーヌ・ドヌーブ、デヴィッド・モース、ピーター・ストーメア
    ジャン=マルク・バール、ヴラディカ・コスティック、カーラ・セイモア

2000年カンヌ国際映画祭:パルムドール・女優賞 受賞

【ストーリー】

遺伝性の病のために視力が失われつつあるセルマは、
女でひとつで育てている同じ遺伝性の病を持つ息子ジーンのため、
工場で働き内職もして息子の手術費用を貯えていた。
ある日ミスをした事で工場を解雇されてしまい、貯めていたお金まで盗まれていた。

【感想】

とても賛否両論な映画ですよね。
自分も嫁さんと鑑賞しましたが、二人の映画を観た印象や受け止め方がまったく違っていました。

この世の中には世渡り上手な人間もいれば不器用な人間もいる。
自分を守るために力を注ぐ人間もいれば、他人のために力を注ぐ人間もいる。
人は誰でも一人では生きてゆくことができません。
人と人は必ず繋がっているのです。

ただ生き方の違いによって人の人生は大きく違ってきます。
自分が生きる意義や意味、その内容によってその人の人生は180度違うものになります。

主人公セルマは遺伝性の病により視力が失われつつあります。
それでも女でひとつで息子のジーンを育て、工場で働き、内職までしています。
何故そこまでして働くのか・・・それは息子ジーンのため。
ジーンもまたセルマと同じく遺伝性の病を持っているのです。

息子の病を治すためセルマは必死でお金を貯めていたのです。

辛く厳しい生活の中でセルマの心のよりどころはミュージカルでした。
アマチュア劇団で稽古をし、辛い事があればミュージカルの妄想世界へと入り込む。
それは彼女が唯一現実世界の厳しさから自分を守る事ができる場所でした。

彼女はきっと自分自身に生きる力が少ない事を理解していたのですね。
そして自分のやるべき事を理解している。
だからこそ贅沢はせず、ほんの少しの幸せでも満足できる。

とても弱い女性でありながら、その弱さに負けないように一生懸命生きていたのです。

そんな彼女たちに優しく接してくれる人々。
同僚の友人キャシー、彼女に想いを寄せるジェフ
住む場所としてトレーラーを貸してくれている警察官のビル夫妻

ものすごく幸せな環境とは言えないが、小さな幸せを感じながら生きるセルマ。
彼女はとても純粋でした。

そのセルマの純粋さによって起こる悲劇。

そして衝撃的なラストを迎えます。

たぶん多くの人はセルマの自分勝手な行動や救いのない結末に不快感を覚えたと思います。

でも、ただ救いがない映画なのでしょうか?

自分はこの映画を観る前に多くの人の感想を読みました。
ネタバレなしで。
なのでとても衝撃的で救いがない映画なのだと頭で理解していたからかもしれません。

自分は映画を観終えて不快感を覚えることはありませんでした。


※以下ネタバレです※
※この映画を観た方のみ反転して読んで下さい※


セルマの生き方はこれしかなかったのだと思います。
上手く世の中を渡って行く術を知らなかったのです。
生きる事に関してとても不器用だったのです。
そして彼女には揺ぎ無いもの、生きる意義、生きる意味がしっかりと見えていたのです。

彼女にとって全ては息子のジーンであり、彼女の人生だったのです。
そして彼女が生きる意義としていたもの、
それはジーンの病を治療するために手術をすることなのです。

「なぜ同じ病気になると分かっていてジーンを産んだんだ?」
面会にきたジェフの問いかけにセルマの答えた言葉。

「赤ちゃんを抱っこしてみたかった」

この言葉に自分勝手と言う方は沢山います。
たしかに、自分と同じ運命を辿ると知っていながら子供を産むのは、
セルマの自己満足と言えると思います。

ただ、それを非難できるでしょうか?
女性として、人間として産まれてきて、
自分の子供、我が子を抱きたいという気持ちを責める事ができるでしょうか?

彼女は子供が欲しい、そう願った時から自分の生きる意義を持ったのです。
遺伝性の病を持ちながら産まれてくる子供への責任。
それは遺伝性の病を治療する事。
子供が産まれる前から、彼女はその責任を人生の生きる意義としたのです。

セルマはその息子の病を治すという責任を全うするために、
裁判でも真実を話そうとはしませんでした。

もっと上手くできたはずです。
真実を語れば死ぬことも無かった。

でも彼女は生きる事に対して不器用でした。
世の中を上手く渡れる人間でもない、口が達者でもない、
どうやって乗り切ればよいのか分からないセルマは、
ただ息子のジーンを救う事だけを考えていたんだと思います。

きっと自分自身を守る事までは考えられなかったのでしょう。

決して死へと逃げた分けではないと思います。
それは死刑台へと向かう彼女を見れば分かります。

強いと思っていた、怖くないと思っていた・・・
しかし死と直面した彼女は本当の恐怖を味わったのだと思います。

息子のために喜んで死ぬのではない。

本当はもっともっと生きたかった。

息子と幸せな生活を送りたかった。

ただセルマは不器用なだけだった。

最後の彼女の恐怖に怯える姿と流した涙からそう感じました。

子供には絶対に親が必要だと思います。
子を持つ親としてその考えはどんな事があっても揺るぎありません。

自分も彼女には生きてほしかったと思います。
生きてジーンをしっかりと育ててほしかった。

子供が成人するまでしっかりと育てる・・・それは全ての親の責任です。
その責任が一番重要な事なのです。

しかしセルマはその責任を果たせなかった。

でもそれは彼女が責任を放棄したからではない。

彼女の生き方が不器用すぎたのです。
世の中をもっと知っておくべきでした。

そして世の中が、社会が彼女を救う事ができなかった。

この世の中には不条理な事が沢山あります。
納得のいかない事、やりきれない思いをす事、理不尽に感じる事、
矛盾や理不尽さがこの世の中に溢れています。

それでも生きていかなかればいけない。
どんなに矛盾があっても、どんなに理不尽であっても、生きてゆくしかないのです。
このセルマの物語も世の中の不条理な現実によるものなのではないでしょうか?

友人のキャシーが死刑台の上のセルマへ手渡したジーンのメガネ。
本当に病が治ったのか、それともキャシーの最後の優しさだったのか・・・
真実は分かりません。

死の恐怖と対峙するセルマはそのメガネを受け取り、泣きながら歌いました。

彼女の人生の最優先であるジーンの治療。
その成功を喜びながらも、自分の死と直面している恐怖が交じり合い、
喜びとも恐怖ともとれる涙を流し続けます。

でも彼女は満足して死刑になったとは思えない。
きっといつまでもジーンと一緒に生きていたかったのでしょう。

死刑台の上で歌う彼女の姿を観て涙が止まりませんでした。

セルマはミュージカルを観に行った時は、
ラストまで観ないで、終わりから2曲目で劇場を後にしていました。
それは彼女の大好きなミュージカルが終わってしまうのがとても悲しいからです。
2曲目で出てしまえばミュージカルは終わらない。
セルマの中で大好きなミュージカルが永遠に続いているのです。

歌が終わる前に処刑されたセルマは、
きっと大好きなミュージカルの世界で永遠に生きているのだと思います。

自分の心を保つ事のできる大好きな世界で。



※ネタバレ以上※


物語は賛否両論ですが、ストーリーの構成や手振れを用いた斬新な映像、
セルマの空想部分のミュージカルなど、素晴らしい部分が沢山ありました。

特に手振れを用いた映像は酔ってしまったり、気分を悪くする人も多かったようですが、
自分は特に気に止めずに観る事ができました。
監督の真意は分かりませんが、セルマの視力が失われてゆく過程を表現していると同時に、
セルマの不安点な心理状況を表現しているのではないかと思います。

ミュージカル部分では逆に躍動感溢れる映像になっているので、
妄想の世界に入り込んだセルマの心理が安定している事を表現しているのだと思います。

出演者たちもとても素晴らしい俳優ばかりですね。

セルマを演じたビョークの演技はとても素晴らしかったです。
歌唱力はもう何も言う事はありませんが、
次第に視力を失ってゆく事への恐怖や不安を上手く表現していました。
カンヌ国際映画祭で女優賞を受賞したのは必然だったと思います。

そしてセルマの友人キャシーを演じたカトリーヌ・ドヌーブ
彼女の存在感はとてつもないですね。
彼女が画面に出てくるだけで、ものすごい存在感を感じました。
やはり名女優ですね、貫禄が違いました。

セルマの住むためのトレーラーを貸している警察官ビルを演じたデヴィッド・モース
セルマを悲劇に追い込む張本人ながら憎みきれない駄目オヤジを、
とても静かな演技で演じていました。
あの表情は真の悪人にはなりきれないビル役にはピッタリですね。

セルマに想いを寄せるジェフ役のピーター・ストーメア
彼は悪役とか変人役が多いですが、
この映画ではとてもピュアで心優しいジェフ役を好演していました。
ジェフもまた不器用にしか生きる事のできない人間でしたね。

人生は思い通りにはなかなか行きません。
だけどそれが人生


器用に生きることが出来る人間、不器用にしか生きられない人間。
セルマはただ不器用にしか生きることが出来なかった。

そんなセルマを自分勝手な生き方だと責める事ができませんでした。

そしてセルマの人生を観て、

果たして自分は人生を器用に生きることが出来るのか?

セルマのように不器用な生き方しかできていないのではないだろうか?

自分の人生をもう一度見つめ直す事が必要なのではないだろうか?

生きる事の難しさ、人生の意義について考えさせられました。

この映画はただ悲惨な人間を描いただけではないです。

不器用にしか生きる事のできない人間を描く事によって、
この映画を観た全ての人たちに、
自分の人生をもう一度深く真剣に考えて欲しい、
そんな監督のメッセージが込められているのではないでしょうか。



評価★★★★★★★★☆☆(10点満点中8点 …1点)


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セルマ・ソングズ~ミュージック・フロム・ダンサー・イン・ザ・ダーク


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ドリームガールズ
夢は永遠に生き続ける。


ドリームガールズ
原題:DREAMGIRLS

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製作年:2006年 製作国:アメリカ 130分
監督:ビル・コンドン
出演:ジェイミー・フォックス、ビヨンセ・ノウルズ、エディ・マーフィ、ジェニファー・ハドソン
    アニカ・ノニ・ローズ、ダニー・グローバー

第79回アカデミー賞:助演女優賞、音響賞 受賞

【ストーリー】

女性3人組のコーラスグループの成功と挫折の物語を数々の名曲に乗せて描く、
ミュージカル・エンターテイメント。
トニー賞で6部門を受賞した伝説のブロードウェイミュージカルを映画化。

【感想】

ミュージカルとかミュージカル映画はあまり観ないので、
どんな評価を付けたら良いのか正直迷ってます。

この映画は「The Supremse」がモデルになっています。
自分にはあまり馴染みがないので、彼女達がどんな風に歌っていたのか、
この映画を観てちょっと興味が沸きました。

001_20070914185158.jpg

物語はよくあるサクセスストーリーで、
コーラスグループを結成した女性3人組が栄光を掴んだ末に挫折してゆく姿を、
数々の名曲に乗せて描いています。

裏切りや嫉妬などの愛憎劇と共に、
賄賂や回収といった裏の手口を使った売り込みなど音楽業界の裏側も描いています。

006.jpg

歌唱力のある女性3人組のコーラスグループが敏腕プロデューサーによって、
次第に音楽業界を上り詰めて行く。
そのサクセスストーリーはやはり観ていて気持ちが良いですね(^^

そしてビヨンセ・ノウルズジェニファー・ハドソン歌唱力
本当に素晴らしいの一言です。

ビヨンセの美しい歌声、ジェニファー・ハドソンの力強い歌声
まったく違う歌声が素晴らしいハーモニーを奏でていました。

002_20070914185209.jpg

良くあるサクセスストーリーで新鮮さはなかったのですが、
それを彼女たちの歌声でカバーしていたような感じがしました。

歌を歌う部分が全体の大部分を占めているため、
ドラマ性が少し弱かった気がしますね。
もう少し女性3人組の内情を描いた方が感情移入できたような気がします。
プロデューサーのカーティスとの関係や、
人気歌手エディとの関係も、もう少し深く描いた方が物語りに深みが出たと思います。

ですが、さすがはブロードウェイの極上エンターテイメント作品です。
物語の分かりやすさ(逆を言えば先が読める展開ですが(^^;)や、
大迫力で素晴らしい歌声、華やかな映像など楽しめる要素は沢山ありました。

009.jpg

主人公ディーナを演じたビヨンセ・ノウルズ
彼女の歌声、容姿は文句の付け所がありません。
が、今回の役は一応主人公だと思うのですが、キャラクターが薄く、
あまり目立たない存在になってました。
なんかもったいなかったですね。もっと全面に押し出す演出でも良かった気がします。

何かと問題を起こすエフィー役のジェニファー・ハドソン
圧倒的な存在感、力強い歌唱力で本当に素晴らしい演技だったと思います。
この役で第79回アカデミー賞:助演女優賞を受賞しましたね。
ジェニファーの存在感があまりにも強いので、
主人公が一体誰なのか分からなくなってしまいました(^^;

プロデューサー:カーティス役のジェイミー・フォックス
音楽業界で成功し、のし上がろうとするカーティスを無難に演じてたと思います。
やっぱりジェニファー・ハドソンの存在感に消されてしまった感じがします。

デトロイトの人気歌手ジミー役のエディ・マーフィ
ジミー役は適役でしたね、素晴らしい演技だったと思います。
彼らしいノリノリの歌手の役でしたが、
自分の思うようにいかずに苦悩する繊細な部分を上手く演じていたと思います。
アカデミー賞助演男優賞は惜しくも受賞できませんでしたが、
受賞に値する演技を見せてくれていたと思います。

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ミュージカル映画ということで歌を歌う部分がやや長く、
物語が少し薄くなってしまっていますが、
それを補うほどの迫力ある素晴らしい歌声華やかで豪華な映像の数々で、
ハリウッド的エンターテイメント作品に仕上がっています。

良くも悪くもハリウッド映画だなぁって感じがする映画でした。



評価★★★★★★☆☆☆☆(10点満点中6点 …1点)


<DVD情報>

ドリームガールズ スペシャル・コレクターズ・エディション

<CD情報>

ドリームガールズ オリジナルサウンドトラック



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